水に恵まれた地であえて水と米にこだわる 『菅名岳』八代目蔵元の挑戦
新潟県五泉市にある近藤酒造は、水と自社での酒米づくりにこだわる蔵元だ。
■苗から育てる酒米作りは最大4町歩に
狂牛病、BSEが広がり、食の安全が叫ばれた翌年の2003年、トレーサイビリティ法が施行された。
誰もが「それって何?」と、頭を抱えている中、米作りを始めた同蔵は、積極的にトレーサビリティに取り組んだ。世間も管理するほうもまだ暗中模索の時期。
「そうは言っても、食の安全が重要なことは誰でもわかっていること。そのためには有効なこと。私たちは、私たちのやり方で、すべてルーツをたどることができるように、安全を証明できるようにしたのです」
米作りに関わる人は減少が止まらない時代に入って久しく、休耕田が増えていた。もうやめようという田を借りて作っているうちに、専業農家並みの4町歩という土地での米作りをしていたという。
「さすがに、そこまでの人手はないので、今では2町9反です」と謙遜するが、十分すぎる面積である。
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■日本酒は「和材」
日本酒は、美味しい嗜好品であるとともに、それ以上に、日本の誇るべき文化として伝えていかなければならない、と、近藤社長は強く考えている。
それをさらに発展させて、広く世界へ、長く未来へ伝えるべき日本のもの、ことを改めて認識してもらうための総称として生み出したのが「和材」という言葉。『日本酒和材論』だ。
「日本酒は、昔から最良のコミュニケーションツール、話材でもある。そして、その酒が美味しければ美味しいほど、人と人の仲が深まり、会話も深まる。いい酒はいい人を結ぶ。つまり、いい関係にあるということは、いい酒を飲んでいるということです。
そのためにも、うまい酒を作っていかなければならない。飲む人がいい関係を結んでくれるように。それは酒屋の使命ですね」