新潟の厳冬を生き抜く知恵を酒づくりに 豪雪地帯・小千谷『高の井酒造』のアイデア

自然の力を活かした「雪室貯蔵」で、さらなる美味しさを追求。

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2018/01/19 22:00

 

■風習から生まれた雪国ならではの日本酒

高の井

県内には雪室貯蔵を行う蔵は、いくつかある。が、じつはその貯蔵をまず形にしたのは高の井酒造だった。

「雪国では冬を越すために、野菜を雪の中に貯蔵する風習があります。雪下人参や大根を作っているのを見て、日本酒もできるんじゃないかと思いついた。30年ほど前、まだ雪中貯蔵に取り組む蔵はなく、試行錯誤で始めました」


まずはタンクを外に出し、生酒を詰めて、その上に雪を被せて山を作り、100日間囲って様子を見る。当時は商品化するつもりもなく、雪の中でお酒はどうなるかという好奇心のみ。

100日後、タンクを掻き出し、酒を計測してみた。すると驚いたことに、雪中貯蔵する前後でアルコール度数も日本酒度、酸度、アミノ酸度も、数値の変化は全くなし。

しかし口に含むと明らかにまろやかになっており、とろみさえ感じたとか。


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■ニュースがきっかけで話題に

「しぼりたての生酒と数値がほとんど変わらないのに、風味だけが化ける。こんな味わいは面白すぎる。せっかくだから商品化しようという流れになったのです」


新潟で面白い酒が生まれたというニュースはまたたく間に広がる。全国放送の報道番組でも取り上げられ、多くの問い合わせがあった。

今は純米吟醸用の1万ℓと純米大吟醸用の5000ℓのタンク2本で雪中貯蔵を行い、毎年5月にお披露目会を蔵で開催。そのイベントはあまりの人気で、200名の枠は争奪戦になっている。

「雪中は熟成するに非常にいい環境です。酒はストレスなしで、ただゆっくりと眠れる。それが、あのとろみあるまろやかな味わいを生むのです」


この商品には熱狂的ファンも多く、毎年3ヶ月で在庫切れになるそうだ。

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■地元第一の信念から生まれる先見性

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