新潟の厳冬を生き抜く知恵を酒づくりに 豪雪地帯・小千谷『高の井酒造』のアイデア
自然の力を活かした「雪室貯蔵」で、さらなる美味しさを追求。
■地元第一の信念から生まれる先見性
江戸時代の建物が多く残っている小千谷。それにはワケがあった。
「古くから盛んだった織物産業を通じ、取引先の京都や大阪から町が戦火に合わないための情報を逐一入手したんです。
また、これからは学問が必要と地域に小学校を建設。今をどうするじゃなく、小千谷の未来をどうするかの先見性を持つ人が多かったんですね」
そうした精神は高の井酒造にも受け継がれている。例えば1960年代に季節雇用を廃止、地元採用に向け改革してきた。
「酒蔵は地域に根付いた事業ですから、地元の人に働いていただいてこその地酒だと思うのです」と語る山﨑さん。
従業員が地元だから地元とのパイプも太くなる。祭りやイベントに蔵の酒を景品として出してほしいとか、お祝いで配りたいからという注文も増えた。
だからこそいつでも地元の人が「美味しいね」と喜んでくれる味を造り続けるのみ、という。
山﨑蔵元:子供の頃、近所の酒蔵に遊びにいくと蔵人が遊んでくれた。今は自分がご近所の子供たちと遊びながら、未来の蔵人を育てています。
そんな蔵元お薦めのお酒を紹介しよう。
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①『田友 純米吟醸』
小千谷のある魚沼地方は日本一の米どころ。10年前から地元農家と酒米栽培を始め、その酒米で仕込んだ。田植えから仕込みを体験してもらい、『田友』と小千谷に愛着を持ってもらうプロジェクト付きの酒。
②『初梅 純米吟醸』
雪解け水による軟水仕込み。搾ってから1週間以内に全て瓶詰めするため、フレッシュな香味がある。甘口寄りの味わいでひと口目から存在感あり。
「新潟には梅の文字がつく銘柄が多いのは、戦国時代の武将・直江兼続が越後の厳しい冬も無事、民が過ごせるように植梅を推奨。新潟全土に梅の木が増えた。そんな志を引き継いだ1本になってほしい」と4代目。
③『たかの井 清酒』
地元で最も愛飲されている地酒。越後杜氏伝統の技で醸した辛口。「飲みやすい旨さ」を追求し、山菜の天ぷら、鮎の塩焼きなどとの相性は抜群。冷から燗まで楽しめる万能酒。
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(取材・文/Sirabee編集部)