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「AV出演強要」で新たな逮捕者 「淫行勧誘容疑」が意味するものを弁護士に聞いた

「AV出演強要」で新たな逮捕者が…女性の人権と表現の自由はどう守られるのか。

話題

2016年のNGO団体ヒューマンライツ・ナウによる報告書を大きなきっかけとして、注目を集めてきた「AV出演強要」問題。

AV業界からは逮捕者が出る一方で、法学者による第三者委員会や、出演者の人権を守る表現者ネットワークAVANが立ち上がるなど、変化の兆しも見えていた。

 

■「淫行勧誘」で新たな逮捕者

しかし19日、警視庁保安課は、女優が所属するAVプロダクションの元従業員とAVメーカーの社長ら3名を淫行勧誘の容疑で逮捕したと発表した。

「淫行勧誘」とはどのような罪なのか。今回の逮捕は、AV女優や業界、ユーザーなどにとってどのような意味があるのか。レイ法律事務所に所属する松田有加弁護士に話を聞いた。

 

■異例の「淫行勧誘罪」での逮捕

今回の逮捕の異例さについて、松田弁護士は驚きを隠さない。

松田弁護士:今回の逮捕容疑は、「無修正で配信するAVの出演だ」ということを隠したまま女性を勧誘して、スタジオに派遣して出演させたことであるとされています。

 

これまで、労働者派遣法違反や職業安定法違反で検挙された例はありましたが、私の知る限り、淫行勧誘罪での逮捕は今回が初めてです。その意味で、今回の逮捕は、AV出演強要に関する画期的な逮捕であると考えています。

 

■規制が拡がった

では、「淫行勧誘罪」とは何なのだろうか。

松田弁護士:淫行勧誘罪とは、「営利の目的で、淫行の常習のない女子を勧誘して姦淫させた者」を処罰するためのものです。法定刑は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金とされています(刑法182条)。

 

労働者派遣法や職業安定法では、女性を「労働者」と認定する必要があり、そこがひとつのハードルでしたが、淫行勧誘罪は、女性が「労働者」といえるかどうかは関係ありません。その意味では、規制が広がったといえるかもしれません。

 

今回の事件はまだ逮捕段階ですので、今後、検察や裁判所でどのような判断がされるのか注目されるところです。

 

■AV出演に関するトラブルは非常に多い

松田弁護士いわく、AV出演に関する相談は少なくないという。

松田弁護士:女性がアダルトビデオに出演する経緯については様々であり、一概にはいえない部分もあります。

 

しかし、弊所にご相談にいらっしゃる女性(ときには男性も)の中には、「海外で売るから日本の人が見ることはない」、「他にも沢山の女性が出ているから絶対にバレることはない」などの謳い文句を信じて出演をしてしまい、後悔をしている方が沢山います。

 

今回の逮捕が、アダルトビデオ業界の法意識向上に繋がるようにしていきたいですね。

 

警察当局によるかつてない判断に、業界はどう答えるのか。出演女性の権利を守るために、支援団体は何ができるのか。今後を注視したい。

・合わせて読みたい→川奈まり子氏、AV女優・男優の人権を守る団体を設立へ

(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト 取材協力/レイ法律事務所松田有加

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