自然災害を乗り越え小千谷らしさにこだわる 『越の寒中梅』蔵元は意外なルーツが

『越の寒中梅』『長者盛』で知られる小千谷市の酒蔵、新潟銘醸は最初「日本酒の酒蔵」ではなかった!?

地震王国・日本には活断層も多く、活火山の数も世界トップクラス。2004年、新潟県を大きな地震が襲ったことも記憶に新しい。新潟中越地震である。

M6.8、震源の深さ13㎞の直下型地震は、多くの被害をもたらした。新潟銘醸のある小千谷も被害が大きかった地域のひとつだ。


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■自然災害で限界を見たゆえに

新潟銘醸

目を閉じて当時の様子を語るのは、山下進取締役顧問。誰もが己の無力さを痛感したという。

「あの地震は夕方近くに起こったので、被害状況がすぐにわからず、一夜明けてようやくその酷さを知りました。地面はうねり、家々の屋根が落ち、壁や塀は崩れていた。我が社も地震の猛威には抗えなかった。一番古い木造蔵が無残な姿に。


瓶詰め製品は大量に割れ、タンクは転がったり傾いたり、穴が開いたり。しっかり固定していた野外のタンクはボルトが引きちぎられていました。それでも人災なく、各ラインもどうにか稼働できた。精米所の被害がほぼなかったことは、まさに奇跡です」


割れた空き瓶を全員で片付け、無傷だったタンクから瓶詰め。「とにかくできることをやるしかない」という強い思いが、蔵全体に広がった。

「あの時、地獄を見たから、どんな苦しいことがあっても乗り越えられる。ある意味、社員全員の度量が広がったかもしれません」と山下さんは語る。


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■意外なルーツで始まった酒造り

新潟銘醸

新潟銘醸の歴史は、そう古くない。

「新潟銘醸の創業年度は1938年、酒類販売業の免許制度が始まった年です。元々、うちは酒屋ではなく、明治時代から小千谷に隣接する長岡市で薬酒を造っていました。『機那サフラン酒』 はご存知ですか?」


機那サフラン酒とはサフラン、蜂蜜をはじめ桂皮、丁子、甘草など十種類ほどの厳選した植物などで造ったリキュール。薬酒というと養命酒が有名だが、その昔は二大勢力だった。

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■サフラン酒の次につくったのは…

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