厳しい自然を力にする『玉風味』 誰にも真似できない世界のオンリーワンを目指す日本酒

江戸幕府4代将軍家綱の時代に創業、今も新たな挑戦を続ける新潟県魚沼の酒蔵。

2018/01/21 22:00

寛文13年(1673年)、江戸幕府4代将軍徳川家綱の時代から酒造りをしている老舗酒蔵『玉川酒造』。初代・目黒五郎助から18代目を数える長い歴史がある。


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■自然の猛威から生まれた新ジャンル

蔵を構える新潟県魚沼地方は日本有数の豪雪地帯である。 例年でも蔵の周りには雪が4~5mは積もる。その年は雪かきしても追いつかず、瓶詰めした酒が雪に埋もれてしまった。

「完全に埋まって手が出ない。仕方なくひと冬越した。春先に掘り起こし飲んでみると驚くほど熟成されており、社長以下社員全員が本当に驚いたと聞いています。『この味はこの地域でしかできない素晴らしい財産だ!』と、翌年から雪による熟成研究を始めました」


と語る、風間勇人専務。現存している雪中貯蔵の一番古い酒は1985年のもの。偶然が成したこの地域ならではの味が、蔵の主力商品のひとつになった。


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■最新機器よりも雪の力

玉風味

「今は冷却装置付きタンクなど優れた機器もあります。それでも雪中貯蔵にはかなわない部分があります」と、風間さんは胸を張る。

タンクの動力は電気。振動もあるしムラも出る。酒も色がつき、香りも変化する。しかし雪の中だと酒はまるで冬眠した状態になるそうだ。

「酒は仕込んだ時の無色透明のまま。香りも新酒のまま。それでいて風味が丸くなる。最近、古酒が注目されていますが、それとは明らかに異なる新酒の熟成。新しいジャンルの古酒です」


新潟には豪雪を利用し雪中貯蔵を行う酒蔵は幾つかある。各々でやり方、考え方は異なるが皆、雪が酒にもたらす可能性に敬服の念を抱いている。

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■まるでSF? 「冬眠」がもたらす土地ならではの酒
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