地元上越で絶大な人気を誇る『能鷹』 酒飲みに愛される秘密を田中酒造に探る

創業370年を超え、辛口の日本酒にこだわる直江津の酒蔵。

2018/01/31 22:00

能鷹

直江津は日本海に面した港町。森鴎外の『山椒大夫』の舞台として知られる。1971年、高田市と合併して上越市となった。 田中酒造の蔵は、直江津の中心部より車で10分、日本海に沿って走る旧北国街道沿いにある。 


画像をもっと見る

 

 ■甘口系が多い上越にあって辛口ひとすじ

能鷹

えちごトキめき鉄道の隣駅「谷浜駅」前に位置し、夏には谷浜海水浴場がオープン。海水浴客で賑わう、全国でも珍しい海に近接する酒蔵だ。

「明治時代に北陸鉄道開通のため蔵が分断されて、谷浜駅ができました」と、 取締役製造部長の馬場慶徳さんが説明してくれた。

創業は1643(寛永20)年、主要銘柄は『能鷹』だが、1943年までは『公乃松』という銘柄を造っていた。

「田中家の屋号が『能登屋』だったことと、『能ある鷹は爪を隠す』という格言から『能鷹』が生まれました。この格言は先代蔵元が好きだったと聞いています」


上越地区では甘口の酒が多いが、『能鷹』は辛口ひとすじ。「辛口と言えば『能鷹』」が定説になっている。

「ただ辛口なだけでなく旨みもある味わいで、地元直江津地区を中心に愛されている銘柄です。今も造りの大部分は人の手が携わっており、手造りの地酒をお届けすることを使命としています」 と、馬場製造部長の言葉は熱い。


関連記事:宮下草薙「年上との食事がめんどくさい」 先輩女性芸能人への不満も吐露

 

■美味い酒造りの要素は「心・技・体」

能鷹

それでは、愛される銘柄を造り出すのに必要なことは何か、と製造部長に尋ねた。

「モットーは和醸良酒です。前杜氏も『蔵の和が大事』と常々言っていました」


昔ながらの手造りにこだわって、伝統の味を守りつつ、毎日飲みたくなるような酒を、和をもって造りたいと語る。 製造体制は6名、うち部長だけが社員でほかは季節雇用。

こうした中で和を保つには、部長ならではの苦心もあるに違いない。

「美味い酒造りの三要素は『心・技・体』だと聞かされています。心は蔵主の酒造りに対する情熱、技は昔からの秘法を守り酒造りに心血を注ぐ杜氏や蔵人、体は水と酒米、風土。この中の『技』の実現については、自分の役割と心得ています」


と、馬場さんの決意は固い。軽やかでキレのある辛口の中に、ふんわりと広がる後味の旨さ。『能鷹』の特徴は「心・技・体」によって生み出されていることを知らされた。

Amazonタイムセール&キャンペーンをチェック!

次ページ
■酒の命・仕込み水は横井戸に湧く天然水
日本酒杜氏上杉謙信新潟県五百万石北国街道越淡麗能鷹田中酒造えちごトキめき鉄道谷浜直江津松本零士
シェア ツイート 送る アプリで読む

人気記事ランキング