同性愛に不妊治療 『隣の家族は青く見える』で学ぶ差別と偏見の発生源
「不妊治療は自然じゃない」頭のカタい親の偏見は「心配」の裏返し?
■同性愛カップル「わたさく」に魔の手が
そんな頃、「コーポラティブハウス」にはもう1組「偏見」に悩まされているカップルがいた。同性愛者であることを隠して暮らしている建築士の広瀬渉(眞島秀和)と、恋人の青木朔(北村匠海)だ。
恋人同士であることを隠し、「甥っ子と叔父」という設定で同居していた2人が、第4話で誹謗中傷の標的となる。
コーポラティブハウスの玄関に「建築士広瀬渉は同性愛者」「ゲイカップルの家」と書かれた紙が貼り付けられ、渉の職場にも送りつけられたのだ。
取り乱す渉に奈々は、
「知らないから怖いんじゃないんでしょうか? 知ってしまえばなんてことないことを、知らないから敬遠するってこともあるんじゃないでしょうか」
と声をかけるが、渉は、
「本音を言えばほっといてほしいんですよ。別に受け入れてくれなくていいから、そっとしといてくれと」
と肩を落とす。
■区別が差別になるのは「知ってから」?
両親ともに教師の家庭で育ち「カタい考え方」に慣れている渉は、同性愛者であると公表することに抵抗がある。取り乱す渉に対し、自身のセクシャリティをオープンにしている朔は、余裕の表情で受け流す。
幼い頃からカミングアウト済みで、かつてからかわれたこともある朔は、偏見に慣れている様子。「からかうのは差別だ」という渉に、からかう側の立場にも立った言葉を投げかける。
「差別じゃないよ。誰だって小さい頃は自分と違うものは排除しようとするでしょ。それって当たり前なんだよ。まだ、自分と他人は違う、って認識ができてないんだから。だから、差別じゃなくて区別なんだよ(中略)世の中のほとんどの人がゲイって存在を自分とは関係ないファンタジーか何かだと思ってる」
「冷静な大人の男の渉」と「子供っぽい美少年の朔」という関係性が逆転し、年下の恋人が魅力的な包容力を見せたシーンだ。