人と風土のチームワークが酒を育てる 地元に愛される旨味のある辛口『松乃井』
女性のための辛口酒『オンナの辛口』も大人気に。
■チームワークが最も大切
原料処理の大切さは誰しも口にすること。しっかり洗い適量の吸水により、良い蒸米ができる。和窯で米を蒸してスコップで掘り出して運ぶスタイルの松乃井酒造場。
ほとんどの工程が手作業とはいえ、良い蒸米ができなければ、その後の麹造りや酒母造り、全てに影響してくる。 「作り手のチームワーク」を最も大切にしているという社の方針。
きっと日々の話し合いなども活発にされているだろうことは容易に想像できる。そんな中から生まれてきた提案。蔵人たちの「より良い酒を造ろう、造りたい」という気持ちが伝わってきて、古澤社長もだいぶ心を動かされたようだ。
関連記事:ワンカップとハーゲンダッツで作る『ワンカップシェイク』が激ウマ
■蔵人たちは冬は蔵で酒造り、夏は田んぼで米作り
6人体制で酒造りに取り組んでいるという松乃井酒造場。社長の弟である古澤裕杜氏以外の5人すべてが、季節雇用だと聞いて驚いた。
「例年なら、もう蔵入りしている時期なんですが、今年は、稲の生育が遅れていたので、まだ、酒造りも始まっていないのです」
しかも皆、十日町と小千谷という地元の農家で、お米も作っている。今時、珍しい、けれど、かつて杜氏制度のひとつの形として、ポピュラーなものだった。
「なるべく、顔が見える原材料を使いたいんですよね」 と語る、社長の理想にも適っている。
蔵人の中には、高齢化や持ち主が引っ越すなどして耕作放棄地になりそうだった田んぼを引き受けて、どんどん耕作地を増やして人もいるのだという。
揃って技術も安定し、やる気も充実している30~40代。酒造りにも米作りにも全力投球という、頼もしいことこの上ないメンバーだというのだ。中には有機JASの認証を取得している人もいる。
古澤杜氏もまたユニークだ。長年の顧客を裏切らない定番酒から名作『英保』まで造る。かと思えば、お酒が大好きで「女だって辛口が飲みたい!」という奥様のリクエストで造った「オンナの辛口」が超話題作となっている。