飲んでにこにこ「えびす顔」になる『福顔』 三条市唯一の酒蔵で超軟水を活かして

「いからし」と読む五十嵐川の伏流水は県内でも指折りの超軟水だ。

2018/02/14 22:00

福顔酒造

新潟県のほぼ中央に位置する三条市は「ものづくりのまち」。鍛冶の伝統を受け継ぎ、金属加工を中心に多様な加工技術が集積している。


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■清流・五十嵐川の恩恵を受けて

そもそもの起こりは、江戸時代の初め頃、五十嵐川の度重なる水害に苦しむ農民のために当時の代官が江戸から釘職人を招いて、農家の副業として釘の製造を指導・奨励したことと伝えられる。

市の南東、魚沼市との境界にそびえるのは烏帽子岳。この山に源を発する五十嵐川が市街を流れ、やがて信濃川に合流する。アユやヤマメ、ウグイなどが生息し、秋にはサケが遡上するという清流だ。

「いがらし」ではなく「いからし」と呼ばれる川の名前は、垂仁天皇の第八皇子・五十日足彦命(いかたらしひこのみこと)に由来するとか。

三条市下田地区周辺はこの第八皇子が開拓し、その子孫が「五十嵐(いからし)」を名乗ったためと伝えられる。 福顔酒造の銘柄『越後五十嵐川(えちごいからしがわ)』は、この川に因むもの。

「三条市はこの水系の豊かな水と肥沃な土地に恵まれて、コメをはじめ多彩な農産物の産地でもあります。豊かな水とコメがあったので、三条には何軒かの酒蔵がありましたが、今は当社1軒のみになってしまいました」


と、福顔酒造の5代目蔵元で代表取締役の小林章さんは話し始めた。


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■「福顔」の由来は?

福顔酒造

恵比寿様がシンボルマークの福顔酒造 創業は1897年、代表銘柄は『福顔』。屋号「宇寿屋(うすや)」として『松風』という銘柄も出荷していたが、統制により『福顔』を残し、現在に至っている。

「福顔は縁起のいい名前でしょう」と小林社長は酒銘のいわれを話してくれた。

「初代・小林正次は飲んだ人が福の顔になる旨い酒を造り、日本酒で人を幸せにしたいとの志から、この名を付けたようです」


福顔の酒で、福顔の人をつくる。飲むと福を呼び、至福の時を提供するお酒。これが創業以来の基本理念だという。

「二代目小林正次に小林家の家訓として伝えられ、正次という名前は三代目まで家訓と一緒に当主が引き継いできました。父である四代目は正次を名乗らなかったので、私も名前は引き継いでいませんが、基本理念は受け継いでいます」


福顔の人のシンボルとして七福神の一人である恵比寿様を、福顔酒造のシンボルマークに採用。飲んでにこにこ顔のえびす顔になるお酒が、福顔酒造の日本酒であるとの想いを明かしてくれた。

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■五十嵐川伏流水で仕込む
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