上杉謙信の時代から続く酒蔵『吉乃川』 先人の技を受け継ぎ新たなチャレンジへ
400年以上の歴史を引き継ぎ、新潟の酒の名を高めてきた。
長岡市の摂田屋地区といえば、醸造業が集まる町。酒、醤油、味噌などの蔵が集まり、どこか懐かしい佇まいを見せる。
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■創業は上杉謙信が活躍した戦国の世
圧巻は極彩色の鏝絵が見事な機那サフラン酒本舗の土蔵。かつては養命酒と人気を二分したサフラン入りの薬酒は、昭和初期にはハワイにまで進出したという。往時の栄華が想像される。
日本酒の有力ブランドのひとつ『吉乃川』の本社は、この摂田屋にある。ツタの絡まる大迫力の蔵は大正時代の建造で、鉄筋コンクリートの蔵の先駆けだそうだ。他の建物は近代的だが、外観に反してこの蔵の歴史は古い。
創業は上杉謙信が活躍した戦国時代の1548年。じつに470年もの歴史があり、新潟県最古の酒蔵とされる。
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■機械化しても自動化しない
2016年に社長に就任した峰政祐己氏は、着任時の挨拶で次のように語っている。
「蔵の規模は大きくなりましたが、『機械化はしても自動化はしない』を信条に、伝統の技に支えられた手造り大吟醸を基本とした酒造りを続けていきます。
『吉乃川』は、新潟の人にずっと飲み続けていただいているお酒です。これからも、飲み飽きしない酒、毎日飲みたい酒を造り続けることに変わりはありません」
「機械化はしても自動化はしない」という言葉は、創業家である川上家19代故川上浩司社長の言葉だ。峰政社長は、その遺志を受け継ぎ経営にあたっている。
酒蔵の激戦区である新潟県で長きに渡り業界を牽引してきた実力は、県内最多の受賞歴からも明らか。
じつに、関東信越国税局酒類鑑評会では1965年から通算67回の入賞、全国新酒鑑評会では1956年から通算 29回の金賞受賞を記録している。