芸能事務所による「移籍制限」に独禁法違反の恐れ 今後の展開も弁護士が解説

日本エンターテイナーライツ協会の共同代表理事を務める河西邦剛弁護士が解説。


 

■タレントへのネガキャンにも一定の配慮

テレビ局
(Digital Vision./Photodisc/Thinkstock)

報告書ではタレントのネガティブ情報が業界内で広まることがその後のタレント活動に支障がきたす状況があるか否かが、優越的地位の認定にあたり考慮する旨明言されています。

公取委がイメージという芸能人に顕著な要素にも言及しており、芸能界の特殊性により配慮するような報告書と考えることもできます。


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■今後の課題

公取委は、「移籍制限は独占禁止法に違反する」という断定的判断をすることはできません。公取委は行政処分をする権限はありますが、最終的に適法・違法の判断をするのは裁判所だからです。

今回の報告書では、「移籍制限は違法になる可能性がある」とはされていますが、「違法である」と断定はしていません。

「移籍制限は違法なんだ」という断定的判断をさせるためには、公取委や裁判所に個別具体的な事件を持ち込むことが必要になります。

タレントが泣き寝入りするのではなく、声を上げていくことが次のステップに行くためには不可欠になるでしょう。また今回の検討会発表では、テレビ局や広告代理店による「忖度」の問題は残りました。

ここについては、さらに検討が必要になってくるでしょう。 そして、「タレントが正義で事務所が悪」ということは一切ありません。

公平に協調しながら、発展的で夢のあるエンターテイメント業界の土台作りが大切なのではないかと思います

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(文/河西邦剛(弁護士)

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