酒米の名産地・和島で地元に愛される酒蔵 哲学者の名にちなむ『和楽互尊』の歴史

少し難しい名前だが、かつての蔵元の親交からついた名だとう。

2018/02/22 22:00

和楽互尊

 山並みに入り込んでいくように山深い地。しかし、道はほぼ平らで決して広い土地ではないが、その傍らにはどこまでも田んぼが続く。旧和島。ここは、新潟でも知られた酒米の産地だ。


画像をもっと見る

 

■銘柄に思いを込めれば発信ツールに

和楽互尊

お酒の名前は多種多様だが、やはり親しんでもらいたいと、綺麗な字、綺麗な響き、縁起の良い名前、地元の名士の名前などが多くなるもの。

難しそう堅苦しそうな銘柄をあえてつけるには、それなりの確固たる思いがある、ということに他ならない。 「和楽互尊」。

その字のごとく、「お互いに尊重しあえば、和やかに楽しく」いられる、という意味なのだそうだが、お酒を知る前からこの言葉を知っていた人はいるだろうか。


関連記事:酒は飲んでも飲まれるな! 酔って失敗した人のエピソードが切ない

 

■地元の哲学者に由来

和楽互尊

命名者は池浦酒造の先々代。長岡の哲学者で、互尊精神を提唱し野本互尊と自らを名乗っていた、野本恭三郎氏。先代がその精神に感銘を受け、親しくさせていただいていたのだそうだ。

互尊を酒の銘柄にするにあたって、助言を得たのが、漢学者の安岡正篤氏と、先々代の高い志、豊かな交友関係が窺われる。 「その精神を酒造りにも活かしていきたいと、祖父が命名したのです」と取締役社長の池浦隆太郎さん。

とかく酒造りは、人間があれこれ操作できるものではなく、微生物の働きを尊重して、必要に応じて、可能な範囲で環境を整えるだけ、と言われる。思うところは一緒なのかもしれない。

Amazonタイムセール&キャンペーンをチェック!

次ページ
■周りは屈指の酒米産地
日本酒新潟県酒米長岡市越淡麗和楽互尊池浦酒造和島安岡正篤野本和幸
シェア ツイート 送る アプリで読む

人気記事ランキング