法で裁けない「殺人」 いじめの残酷さを描き尽くした脚本に感嘆『アンナチュラル』
学校でのいじめの実態に深く切り込んだ第7話。無情な実態に感嘆の声があがり、「生きろ」の言葉が響く…
■「法律では裁けない殺人」ミコトの見解
いじめがあった事実をしっかりと受け止め、同僚の法医解剖医・中堂(井浦新)も加わっての決死の究明の末、横山の本当の死因と、白井の一見サイコパスな言動の真意を突き止めたミコト。
ミコトは横山の死因について、ライブ配信中に白井が朗読していた短編小説に出てくる「凶器を隠すトリック」を用いた「刃物による自殺」と断言。
さらに、「いじめっ子たちが使っていたナイフ」を凶器に使用することで、いじめっ子たちの殺害に見立てようとした、とも解説した。
しかし、これは「法医学的見解」であると述べ、「ここからは私故人の見解です」と前置きしたうえで、亡き友人を思う白井の真意を汲み取っていく。
横山の背中には、古いものと新しいものが混在する無数のアザがあり、ミコトは横山が「日常的にいじめを受けていた」ことを断言。さらに、そのような暴力が見過ごされてきたとも指摘。
「法医学的には『自殺』。でも、私は殺されたんだと思う。法律では裁けない『いじめ』という名の殺人。あなたはそれを、大勢の人に伝えたかった…」
と、ミコトは10万人にも及ぶ視聴者が見守る中、自身の見解を示した。
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■いじめ自殺の無情すぎる「その後」
横山の計画を知っていながら、助けることができなかった自分を責め続ける白井。ミコトに全てを暴かれ、顔を隠していたパプリカのエフェクトを切って素顔と本名を晒し「自分とYはいじめられていた」と訴えはじめる。
さらに、いじめっ子たちの名前も公言し「これは遺書です」と続け、視聴者が10万人に達したことを受けて、「もう1人…僕は、僕を殺す」とカメラの前でナイフを構える。
ミコトは…
「あなたを苦しめた人の名前を遺書に残して…それが何? 彼等はきっと転校して、名前を変えて、新しい人生を生きていくの。
あなたの人生を奪ったことなんてすっかり忘れて生きていくの。あなたが命を差し出しても、あなたの痛みは決して彼等に届かない。それでも死ぬの?」
と、無情な現実を語りかけた。間もなく、白井の居場所を突き止めた中堂らUDIラボの面々がライブ配信元に乗り込み、「生きろ」という中堂の強い言葉に導かれるように、白井の自殺は阻止された。
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■「いじめ自殺」の無情さを描ききった内容に感嘆の声
日々のいじめに苦しみながら、被害者が自ら命を断った後、命を懸けて訴えた「いじめの事実」が様々な工程でうやむやにされ、加害者には何の苦痛にもならない無情な現状を、克明に描いた第7話。視聴者からは感嘆の声があがる。
リーガルハイの古美門先生の「多数派は常に正義であり、異を唱える者は排除される。いじめの正体とは“空気”です。特に右から左、左から右へと全員で移動するこの国では空気という魔物の持つ力は実に強大です。この敵の前では法ですら無力かもしれません。」という台詞を思い出した
#アンナチュラル— めか子 (@mekameko519) February 23, 2018
いじめたやつらは告発の後ものうのうと生きていく。そんな奴らの為に死んではいけない、絶対に。ドラマ #アンナチュラル からのシンプルな訴え…
— ぬえ (@yosinotennin) February 23, 2018
#アンナチュラル
白井君の顔を隠してたパプリカの花言葉は同情、哀れみで、もう1つは、君を忘れない
白井君は同情してほしいわけでも、哀れんでほしいわけでもなくて、ただ助けてほしかったんだよなぁ
横山君のこと忘れないで生きていくんだろうな— 飛鳥 (@Asuka_Chamberla) February 23, 2018
今週のタイトル「殺人遊戯」
これ最初はあの殺人配信のことを指してるのかと思ったら、イジメのことを示していたとはな……毎週本当に秀逸なタイトルをつけるなぁ#アンナチュラル— ハリ@11月5日BIG LOVE (@harihara11) February 23, 2018
中には、学生時代にいじめを受けた経験のあるユーザーからの、悲痛な叫びのようなツイートも。
ラストには、謎の死を遂げた恋人の遺体の写真をミコトに見せ、中堂は正式に犯人探しの協力を要請する。中堂の「復讐劇」がどうなっていくのか…今後の展開も見逃せない。
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