越後杜氏の故郷で元禄からの歴史を守る『頚城酒造』 地元と連携した農業プロジェクトも

よく知られる越後杜氏の中でも「越後三大杜氏」のひとつが頸城杜氏。

2018/02/26 22:00

頚城酒造

新潟県は上越、中越、下越、佐渡と大きく4つの地域に分けられる。頚城酒造は上越地域の柿崎にある。創業は1697年、江戸時代、元禄の世に八木酒造として歴史が始まった。


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■酒造りの要は農業にあり

頚城酒造

「柿崎は日本三大薬師のひとつ霊峰、米山の麓にあり、海と山に囲まれた自然豊かな地。越後杜氏の中でも有名な頚城杜氏の故郷として知られ、多くの名杜氏を輩出している酒造りの里です」


と語るのは、八木酒造時代から数えて十八代目、頚城酒造として三代目の蔵元、八木崇博さん。

越後杜氏は日本の杜氏集団のひとつで、中でも越後三大杜氏として頚城杜氏の酒造りの技術は、類まれな研ぎ澄まされた感性があると尊敬されてきた。

その頚城杜氏の本家本元であるということもあり、頚城酒造は国内外の日本酒ファンから注目されている。こちらの特徴といえば米作り=酒造りという姿勢だろう。

酒米は、山田錦以外全て地元の契約栽培米を使用。その中には新潟では珍しい八反錦も。

「酒造りというと蔵元や杜氏が主役に思われがちですが、実は原料米である酒米は最も大事な要素のひとつ。酒は米と水からできます。その酒米を作ってくれる農家さんは酒造りにおいて必要不可欠な存在です」


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■全量を地元産米へ

頚城酒造

米を知る者が酒を造る。かつての季節雇用の杜氏集団はそうだった。時代的にその制度が厳しくなった現代。しかし頚城酒造には農家兼蔵人が幾人もいる。

「酒米生産者が蔵人だと、使う米の性格や性質もしっかりと見分けられる。裏を返せば酒を造るにはどういう米がいいのかがわかっている。入蔵時に原料米を見て、各々の酒米の出来具合を見極める。


みんなプロでプライドもあるので切磋琢磨ですよね。これは酒造りにとって非常にいい環境です。だっていい酒を作りたいじゃないですか」


来季から蔵で使う酒造好適米は全量柿崎産米になる予定という八木さん。そうすることで、どの田んぼで作った米がどのお酒になるのか、誰もがわかるようになることに。

「田んぼを見たらお酒の銘柄が出てくるという世界って、面白いと思いません?」と、微笑む。

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