全量槽しぼりで瓶燗火入れ 一本一本手造りで仕上げる『越後自慢』は江戸時代からの蔵
童話『赤いろうそくと人魚』のもとになった人魚伝説が残る里で。
■いつも食卓にある酒が理想
仕込み水は自家井戸から汲み上げる地下水。砂丘地帯の伏流水だそうで、酒は軟水仕込みのきめ細かい舌触りとふくよかな味わいを持つ。コメは五百万石と越淡麗が主体、麹には普通酒でも好適米を使っている。
「上越では甘口系が多いのですが、うちは料理に合う酒、すっきりとした後味の食中酒を信条にしています。どんな料理にも合うと、お客さんから手紙までもらいました。子供の頃には蔵をよくのぞきに来て遊んだんですよ」
と懐かしそうに蔵元。目に映る蔵の風景は、半世紀が過ぎてもそのころと変わらないに違いない。道具も一本一本手造りで丁寧に仕上げる作業も。そんなふうに蔵に流れる時間は、これからも続いてほしいと感じられた。
以下は蔵元おすすめのお酒。
関連記事:嫌なことがあったときには酒に逃げる? 30代会社員が感じるストレスとは
① 『越後自慢 純米酒』
蔵一番の自信作。酒米・越淡麗の旨さが際立つ。新しくできた長岡の「ぽんしゅ館」でも好評を博している。
② 『松風酔月 純米吟醸』
五百万石を使い、コメの旨さを生かしつつスッキリときれいな後味が楽しめる。きめ細やかな舌触りとふくよかな味わいが特徴。
③ 『越後自慢 辛口本醸造』
日本酒度+5で辛口うたうが、軟水の仕込み水のために芳醇で優しい風味を持つ。そのあとに続く旨みとキレのバランスがいい。
・合わせて読みたい→嫌なことがあったときには酒に逃げる? 30代会社員が感じるストレスとは
(取材・文/タカハシマコト)