新入社員の給与を天引きして全社員が飲み会 ブラック企業のあきれた非常識ルール

二次会、三次会と延々と続く飲み会では、セクハラまがいの行為も横行していた。

2018/06/10 10:30


 

■弁護士の見解は…

南谷泰史弁護士

このような給与天引きや企業文化に法的な問題はないのだろうか。鎧橋総合法律事務所の南谷泰史弁護士に聞いたところ…

南谷弁護士:他の社員の飲み会の費用が新卒社員の給与から差し引かれていた点は、当然ながら違法です。そもそも、会社は従業員に対して賃金を払う法的な債務を負っているため、就業規則等の法的根拠なく、社長の方針で給与を減額することはできません。


また、労基法24条1項は賃金の全額払いの原則を定めており、給与から費用を差し引けるのは、所得税の源泉徴収や社会保険料の控除等の法定の場合と、労使協定(会社と労働組合等との協定)がある場合のみです。また、労使協定がある場合でも、給与から差し引けるのは、社宅等の費用や組合費等の合理的な費用に限られると解釈されています。


そのため、他の社員の飲み会の費用を差し引くことは、仮に就業規則等に規定があっても認められないと考えられます。差し引かれた飲み会の費用については未払賃金として会社に請求することができます。


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■参加拒否が不利益になる飲み会は「労働時間」

 残業や「四次会」についても、問題を指摘する。

南谷弁護士:次に、22時まで毎日残業させられていた点については、36協定がある場合を除き、労基法32条違反です。なお、36協定があっても協定上の残業時間の上限を超えている場合は労基法32条違反となります。


また、定時以降の残業について残業代が支払われていない場合、労基法37条違反であり、会社に対して未払い残業代を請求できます。


さらに、会社への熱意を語り合う会への参加が強制されていた点は、参加を拒否したことで不利益があるような場合、参加していた時間は労働時間にあたり、残業代を請求できる可能性が高いでしょう。

 

また、飲み会での不愉快な行為も問題だ。

南谷弁護士:最後に、飲み会で肩や腰を抱かれて不快な思いをした点については、飲み会への参加が強制されていた点を踏まえると、セクハラに当たる可能性が非常に高いといえます。

 

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(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト 取材協力/日本リーガルネットワーク

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