往年の人気漫画『まいっちんぐマチコ先生』再ブーム 寛容な昭和性表現への懐古か
漫画からアニメ、映画、芝居、ミュージカル。『マチコ先生』の快進撃は今後も続きそうだ。
■タイムスリップするストーリー
上演が始まるのだが、なぜか幕は降りたまま。まずはあらま学園のヘンタイ教師・山形国男が登場する。そこに、あらま学園のマチコ先生にエッチないたずらをするケン太、タマ夫、金三の三人組が客席通路から出てきて、みんなで主役マチコ先生の登場を待つ。
観客も交えて「マチコ先生」と叫ぶと幕が開いて、お待ちかねの片岡沙耶さんが演じるマチコ先生が出てくる。舞台では新入生歓迎会が開催されようとしている。しかし新入生として現れたのは表情のない不思議ちゃん系の少女が一人だけ。
企画したケン太たちを「胸を張っていいこと」とマチコ先生が励ますと、ケン太たちは「ボイン、タ~ッチ」といってマチコ先生の胸を触り、マチコ先生は「いやーん、まいっちんぐ」と例の所作をする。
すると、舞台では下から風が吹きスカートがなびき、会場はわく。 やがて謎のおばさん科学者と自称助手が登場。じつは新入生である不思議ちゃんの少女はタイムマシンにもなるロボットだった。
挙句にマチコ先生と生徒たち、山形先生にコケダルマ校長、愛知教頭らが諸共1980年のあらま学園にタイムスリップしてしまうのだった。そこで過去の自分たちや若かりし頃の自分たちの母親と会う……というSFな展開となっていく。
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■約40年の変化が明らかに
タイムスリップ先となる1980年は、前述の原作漫画の連載が始まった年である。私が生まれた年だ。
この演劇はセクシーなドタバタコメディでもあるが、1980年と2018年とを比較することによって、何が喪われたのか、何が進んだのか…ということを追うテーマになっている。
1980年代のアイテムとして出てくるのは、スカートの裾が長い不良三人組、聖子ちゃんカット風の女子、女子生徒の髪形や服装。懐かしいと感じた方も多かっただろう。
さて、芝居のストーリーだが、最後は「すけべパワー」によって現代に戻ってくるというもの。友情や連帯あり、節度と抑制のきいた性表現であり、軽妙な会話ありで、観ていて飽きることはなかった。そして、この38年間の変化についても考えさせるものであった。