「安田純平さんは謝罪すべきでない」「自己責任論は民主主義を知らない」 米国特派員が激白

シリアで3年半拘束され、先日解放されたジャーナリストの安田純平さんが、日本外国特派員協会で記者会見を行った。

2018/11/11 18:30


 

■米人記者「安田さんは極めて勇敢」

外国人記者クラブ

私は会見後に、マイケル=ペン記者にインタビューした。

———安田純平さんが解放されたことをどう思いますか?

「やはり嬉しいです。安田さんは勇気があり、極めて勇敢なジャーナリストです。彼が解放されたことを、同じジャーナリストとして歓迎したい」


———「安田さんは謝罪すべきではない」と発言された理由は?

「安田さんは、ジャーナリストの正しい方法で仕事をしました。安田さんを知る多くのジャーナリストが、『彼には豊富な経験があるし、彼ほど戦地に入るときに入念に準備をして、危機意識をもって取材する人はいない』と証言しています。


たとえば消防士などがそうですが、普段から訓練を重ねて鍛え上げ、完全武装して現場に行くのに命を落とすケースはあります。安田さんが拘束されてしまったことも、危険な仕事に伴う避けようのないリスクだと言えます。


日本が民主主義の国であれば、安田さんのように危険も顧みずに慎重に慎重を期して危険地帯・戦場・紛争地を取材する人がたくさん増える必要があると私は考えます。


危ない場所に行くわけですから、どんなに入念に準備をして、警戒心を強く持ったとしても事故にあう可能性はある。しかし、それを取材することこそがジャーナリストの仕事なのです。


なぜ危ないところに行くのかというと、正しい情報、中立の情報を伝えるためです。シリアに関する正確で中立な情報が入ってこなかったら、為政者だって、どうやって正しい政策をとれるのですか?


真実を伝えるからこそ、何が必要で、どうすべきか……が分かるのです。安田さんをあたかも犯罪者のように叩く風潮がありますが、彼は犯罪者でも間違った人でもない。彼は極めて正しい方法で勇気を以て仕事をされたと思います」


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■自己責任論者は民主主義を知らない

———日本では「安田さんは自己責任で行ったのであり、政府や関係者に迷惑をかけたのだから、安田さんの家族まで含めて謝罪すべきだ」という意見があります。

「安田さんを批判する人たちは、ジャーナリストの仕事を分からないか、まったく無知な人たちですよ。民主主義の本当の意味を分かっていない。健全なジャーナリズムが機能し、言論の自由・報道の自由が守られることこそが、民主主義の礎です。


民主主義には正しい情報、権力から独立した自由なメディアが必須です。政府や利益団体からだけの情報が報道されるようになれば、民主主義は機能しないし、発展しない。『大本営発表の情報だけで良いのか』という問題です」


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■注視してきた欧米メディアも歓迎報道

———欧米メディアは安田さんの解放をどう報じていますか?

「安田さんが3年半にわたって解放されるのか、殺されてしまうのか分からず、欧米メディアは動向を注視していました。安田さんが無事に解放されたことを歓迎する形で報道していますよ。それが欧米標準です。


彼は立派な仕事をしてきたのであり、咎はありません。拷問に遭いながら、身柄をいくつも移され、いつ解放されるかも分からない状態で、安田さんはよく耐えたと思います。


その不屈の精神は賞賛に値します。無事に解放されたことを改めて歓迎したいと思います」

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(取材・文/France10・及川健二

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