コロコロ変わる昼夜シフトにサービス残業100時間 ブラック企業に中途入社した悲劇の体験談

めちゃくちゃな働き方を強要するブラック企業を弁護士が一刀両断。

2018/11/25 11:30


 

■弁護士の見解は…

早野述久弁護士

結果的には転職先で仕事に恵まれたチロリンさんだが、この企業にはどのような問題があったのだろうか。鎧橋総合法律事務所の早野述久弁護士に聞いたところ…

早野弁護士:昼夜逆転するように、シフトがコロコロ変わるような職場環境は、大変つらかったことと予想されます。そればかりか、長時間の勤務であるにもかかわらず、残業代の請求が許されず、サービス残業が常態化している実態には憤りを禁じえません。


このような会社は法律上の問題だけでなく、企業マネジメントの問題もありそうです。



と、詳しく解説してくれた。


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■問題点①:変わる勤務時間と長時間勤務の常態化

早野弁護士:チロリンさんは、昼夜のシフトがコロコロ変化するため、生活のリズムを崩されたとのことでした。勤務時間が頻繁に変わり、かつ、これにより昼夜が逆転するようでしたので、体調を崩されることもあったのではないでしょうか。


一方で、会社側は、労働契約締結時に従業員に労働条件の明示をする義務がありますが、チロリンさんに、昼夜シフト制の説明をしていなかった場合には問題です。


仮に説明があったとしても、チロリンさんの場合のように、生活リズムを崩され、同僚が次々と辞めていく環境であったすると、会社側の安全配慮義務違反(労働契約法5条)が考えられます。


一般に、会社側は安全義務配慮義務の関係上、昼夜シフト制を採用する場合であっても、従業員の健康に配慮した運用を行わなければなりません。


この他、チロリンさんは夜勤の勤務であるのに、昼間に行う商談を担当させるなど、会社の業務分担におけるマネジメントに問題がありそうです。


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■問題点②:労使協定の欠如と未払い残業代

早野弁護士:チロリンさんは、100時間ものサービス残業もしているとのことでした。法律上、会社側は、原則として、1日8時間、週40時間を超えて雇用者を労働させるには、時間外の割増賃金を支払う義務があります(労基法37条1項)。


また、これとは別に、午後10時から午前5時の間に労働させるには、別途深夜手当を加えた割増賃金を支払う義務があります(労基法37条4項)。


チロリンさんの例において、固定の残業代の取り決め等があったかは不明ですが、昼夜のシフトでの勤務、100時間の残業の事実から、チロリンさんの会社には、未払いの残業代の問題がある可能性があります。


しかも、夜勤時の仮眠時間について、労働時間外として取り扱うためには、従業員は完全に労働から解放されなければなりません。


しかし、チロリンさんは取引先の電話に対応するため、睡眠を妨害されたとのことであり、労働から解放されていたとはいえず、この点でも未払い残業代が発生している可能性があります。


さらに、時間外労働に関連して、労使間の協定の欠如(36協定)の可能性も疑われます。会社が1日8時間、週40時間という枠組みを超えて、雇用者を労働させるためには、従業員側との協定が必要です。


仮にチロリンさんの勤務していた会社で36協定がなかった場合には、法律上、残業自体が禁止されるので、会社側が罰則を科せられる可能性があります(労基法119条1号)。

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(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト 取材協力/日本リーガルネットワーク

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