「みなし残業60時間」で会議はすべて定時以降 裁量労働制を悪用するブラック企業の手口とは
60時間のみなし残業代、打ち合わせは通常営業時間が終わった後…というブラックな人材企業。その実態とは…。
■弁護士の見解は
こうしたみなし残業代は適正なのだろうか。鎧橋綜合法律事務所の早野述久弁護士に聞いたところ…
早野弁護士:一般に「みなし残業」という場合、「裁量労働制」又は「固定残業代制」のいずれかを指すことが多いです。
そして、「みなし残業」が用いられる職場では、実際には法的に有効な労働時間制度が採用されておらず、長時間労働の問題が生じることが多くあります。本件では、とくに60時間分のみなし残業代の有効性について問題となる可能性があります。
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■法律上の裁量労働制とは
早野弁護士:裁量労働制は、実際の労働時間数にかかわらず一定の労働時間数だけ労働したものとみなす制度です。これは法律上定められた厳格な要件を満たす場合にのみ採用することが許容されています(労基法38条の3、38条の4)。
ワークライフバランスさんが勤務していた会社では、「そもそも就業時間に営業活動以外のことをすると怒られる」とのことから、ワークライフバランスさんが従事していたのは営業業務である(専門業務型裁量労働制の対象外)と推察され、また、業務の遂行に関し、裁量権があったとはいえません(企画業務型裁量労働制の対象外)。
したがって、ワークライフバランスさんについて裁量労働制を適用することは法律上許されず、「みなし残業」と言っているのは固定残業代制を意味している可能性が高いと考えられます。