安倍政権打倒を訴える鳩山由起夫元首相 「北海道地震は人災」を道警がデマ認定で炎上
東大工学部を卒業し、理系の研究者だった鳩山由紀夫元首相。北海道地震をめぐる投稿が物議を醸している。
■CCSとは
CCSは、工場などから大気中に排出される二酸化炭素の量を減らすため、CO2を地中深くに閉じ込める技術で、今回の地震の震源に近い北海道苫小牧市に実験施設がある。
警察がデマとしたため、鳩山氏のツイートは大炎上したが、鳩山氏は削除するどころか次のようにツイートした。
「道警は科学的データも調べないで厚真町地震と苫小牧のCCS実験は無関係でデマと認定した。国会論戦で中越地震・中越沖地震はCCSによって引き起こされた可能性があるとされ、長岡のCCSは中止となったのであろう。
更に北大の研究者が地震誘発の可能性があると論文を書いている。道警は命を守ってほしい」
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■鳩山氏の反論ツイートはフェイク?
鳩山氏は「論文がある」と主張しているが、『北海道胆振東部地震と苫小牧CCSの影響を調べた検討報告書』では、「圧入地点(深さ約1.0〜1.2km)と震源(同37km)が離れていること」「圧入している堆積層と震源のある基盤岩層は連続性がない別の地層」であることなどを理由に関係がないとしている。
さらに、長岡のCCSが中止になったというのも間違い。長岡のCCSは2005年1月11日をもって、予定されていた1万トンの圧入を終了したからやめたのだ。中止ではなく事業が終了しただけなのだ。
東日本大震災のときも「気象平気説」、「地震兵器説」、電波で地震を誘発するという「HAARP(ハープ説)」などが流布し、トンデモ学会が論破していった。
筆者は理系ではないのでCCSが地震を実際に起こせるのか詳しくは知らない。しかし、北海道警が「流言飛語」と断定したのだから、極めて怪しい説だ。
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■「地震兵器」は困難
ちなみに、日本が誇る物理学者の高弟で、東大教授だった平田森三氏は1943年8月号の『科学朝日』誌で、現実的な人工地震を構想している。現代の乱雑な地震兵器説より、よりリアルだが、平田氏はあくまで「空想上の楽しみ」として書いたのだ。
平田氏は地震兵器が実現できる前提として、地球の「あらゆる場所、あらゆる深所における弾性学、剛性率、比重など」が明確に分かっている必要がある、と指摘している。
そうでないと、発生した地震波がどこに飛んで行ってしまうか分からず、コントロールできないことも平田氏は自覚していたのだ。
鳩山氏はもともとは理系の研究者である。CCSは地震兵器ではない。しかし、70年以上前の平田博士のように、単なる妄想でなく、腰を据えて研究してみてはどうか。アベ打倒を主張する前に足をすくわれないために、である。
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(取材・文/France10・及川健二)