ふるさと納税制度の未来はどうなる? 不満爆発の自治体や関係者に聞いてみた

ふるさと納税制度とは一体誰のためのものなのか? 総務省に翻弄され続けた地方自治体の苦悩の姿を追った。

2019/04/29 09:00


 

■「ルール違反」自治体は交付税カット

大阪府泉佐野市、佐賀県みやき町、静岡県小山町、和歌山県高野町の4自治体は、特別交付税の3月分をカットされている。総務省の指示に従わなかった懲罰の意味合いと考えるのが妥当だ。

これらの自治体は、それぞれが問題を抱えており、それをふるさと納税制度を使って解決しようと「工夫と努力」を重ねて来た結果でもある。

何かと批判されることも多い泉佐野市は、関西国際空港建設の影響で莫大な借金を抱えた。その際に「国が助けてくれなかった」という不信感も根強い。

地場産品がほとんどないこの市は、工夫と努力で這い上がるしかなかった。ふるさと納税で、市内の小中学校にプールを建設することもでき。職員たちの士気も上がった。

市は、「地方が自ら考えて施策を実施していくことが、地方自治の本来の姿だ」と訴え続けたが、この主張に表立って同調する自治体は、結局現れなかった。


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■被災地の多賀城市も悩む

多賀城市は、今年1月からふるさと納税の受付をストップしている。復興途中の大切な時期での税収源は、かなりの痛手だ。多賀城市も地場産品がなく、地元のソニーの工場で生産された商品を返戻品としていた。

しかし、総務省が考える地場産品には当たらないという判断のもと、ふるさと納税を全てストップせざるを得ない状況に。市は「被災地の状況を考慮してほしい」と訴え続けたが、総務省に受け入れられることはなかった。

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■結局誰のための制度なのか
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