「痴漢をした経験者が9.7%」は本当か? 調査会社と性暴力被害の専門家に聞いた

痴漢加害者の割合について調査したアンケートデータが議論を呼んだ。インターネット調査の正確性について調査会社に取材。

2019/06/12 09:00


 

■性暴力被害の専門家に聞いた

では、このデータを痴漢被害者の実態から見てみると、どうなのだろうか。性暴力被害を取材するライターの小川たまか氏に聞いた。

「もし本当に9.7%に痴漢経験があるとすると、そんなに素直に自認があるのかな、という驚きがありました。加害者に聞くと、『自分がやっていることが痴漢だ』という認識がない人がいます。


『やさしく触っているので痴漢じゃない』『女の子が逃げなかったから痴漢じゃない』『痴漢されたい子を見つけてあげたい』というような。認知のゆがみで自分を正当化している人たちがいるのです」


法務省が発表している「性犯罪に関する総合的研究」によれば、2014年度の迷惑防止条例違反の痴漢事犯の検挙件数は3,439件。電車内における強制わいせつの認知件数は283件となっている。

「警察庁が2011年に発表した『電車内の痴漢撲滅に向けた取組みに関する報告書』によると、『痴漢被害に遭っても警察に通報・相談していない』と答えた人は304人中271人(89.1%)でした。


個人的な感覚だと、何度も被害に遭っても届けない女性もいるので、検挙件数の10倍ではきかないくらいの痴漢被害が起きているのではないでしょうか。


痴漢被害に関する調査はいろいろありますが、多いものでは女性の8〜9割、少なくても5〜6割の女性が被害経験を訴えています。加害者は、1回で終わる人もいるでしょうし、依存性的に繰り返す人もいるでしょうが」


「被害者の調査に加えて、こうした加害者に関する調査も積極的に行われるようになってほしい」と小川氏は語った。


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■意識調査の意義とは

アンケートによる意識調査は、警察の検挙件数のようなデータと異なり、あくまで参考値だ。しかし、一定の社会実態を統計的な視点から分析することには、少なからぬ意義がある。

痴漢問題は、男性と女性が対立するものではない。すべての男性には母親がおり、また姉妹や恋人、妻、娘、孫など、大切な女性がいる人も多い。「痴漢加害者 vs 社会」の問題なのだ。今後も多様な視点からの調査が進むとともに、痴漢のない社会が来たることを望みたい。

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(文/しらべぇ編集部・タカハシマコト

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