”美しすぎる議員”と言われた塩村あやか前都議に独占インタビュー 「一緒に理不尽と闘いたい」

激戦の東京選挙区に立憲民主党から立候補する塩村あやか前都議。ロスジェネ世代の救済や不妊治療などを政策課題に挙げた。

2019/06/21 10:30



■地方をくまなく歩いた経験を東京で

———今回、立憲民主党から参院東京選挙区に立候補した理由は何ですか?

「都議会議員としての経験もいきること。また、この2年は母の1人暮らしをきっかけに広島に戻っていました。母も妹夫婦一家と同居になりまして、また東京でご縁があって政治活動をスタートさせます。


私は都議会議員の時代に3年ほど無所属で活動をしていました。その中で、私自身が無所属となり政治に向き合ってきた結果、政治に対する考えが固まってきました。政策に一番近い政党で仕事をしたいという気持ちになりました。


私の政治信条に最も近いのは立憲民主党です。また立憲民主党には私が民進党で国政を目指す時に公認を決定してくれ、希望の党騒動の余波で無所属で挑んだ衆院選でも応援に来てくれた蓮舫副代表がいます。


もう一人応援に来てくれたのは杉尾秀哉参議院議員でした。また、騒動の前後で勉強会を予定していましたが、急遽講師を務めてくれたのが辻元清美議員でした。私が信頼を寄せる先輩の多くが立憲民主党であり、政策も一致しています。


また、人口に合わせる形で議員定数は各選挙区で決まっています。私はこの2年地方の選挙区で、くまなく歩いてきました。対話を重ねてきました。地方の現状も理解しています。政策を推進していくには都市部の議員の理解も必要です。


私は両方が分かりますので、東京選挙区でのオファーがあったとき、随分と悩み数回は断ったのですが、広島の支援者や家族などとも議論を重ねて未来の日本を考え、人生の半分を暮らしている東京に戻り挑戦をすることにしました」


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■ロスジェネ世代の救済・不妊治療の支援・安定した雇用を

———参院選では何を訴えていくつもりですか?

「『子育て支援(不妊治療)』『就職氷河期(非正規雇用)』『年金』がメインになります。もちろん、脱原発や、多様性を尊重する夫婦別姓などにも取り組みます。


子育て支援策は都議会議員時代から取り組み、随分と進みました。しかし、私に寄せられる声の中に『政治は産んだ人の支援だけではなく、産めない人の支援もしてほしい』という声も多くあります。確かに重要なことだと考えています。


セクハラやじ騒動の時も不妊の問題を取り上げましたが、不妊治療は精神的にも肉体的にも金銭的にも負担がかかります。私自身も疾患が分かり、卵子凍結を選択して未来に希望をつないでいます。


ホルモン注射を毎日することや、卵子の大きさの確認や採卵で通院を頻繁にすることは辛い面もあります。いま、日本では5.5組に1組の割合で夫婦が不妊検査や治療を行っています。不妊治療と仕事の両立が難しいという声も多く、両立できる法整備に取り組みたい。


ロストジェネレーションと呼ばれる超就職氷河期問題は待ったなし。私自身も99年に非正規雇用で社会に出ました。不安定な賃金で年金を払い、奨学金の返済も。


1000万人以上のロストジェネレーションのうち、非正規雇用が3割に上っています。そのうち、40万人が無職。正社員希望の非正規は50万人です。


超就職氷河期の非正規雇用は、それぞれの人が希望を持って、その人らしい人生を送ることを妨げています。それに加えて、『景気回復の足かせ』『社会保障費の増大』『深刻な少子化』を招いています。


GDPの6割は個人消費です。つまり、ひとりひとりが少しずつ消費をすることが重要であるにも関わらず、非正規は低賃金で不安定な生活のため消費活動に限りもあるし、景気回復の実感もない人が8割の今、消費せず貯蓄に回して万が一の場合や、老後に備えるのは当然です。


非正規の低賃金に影響を受けて正規社員の皆さんの実質賃金もこの20年間ジリジリと下がってきています。つまり、景気回復のエンジンがなかなかかからない状態です。エンジンをかけるには、安定雇用への転換が重要です。


初職が正規雇用だと7割の人が所帯を持ち、5割強の人に子供がいます。しかし、非正規雇用だと3割弱の人しか所帯を持っておらず、2割の人しか子供がいません。つまり、非正規雇用は日本の少子化の大きな原因になっていると指摘がされています。


このまま25年経過すると親も亡くなります。ある試算では、生活保護費が30兆円増加するという数字もあります。ロスジェネが40代の今、安定雇用に繋げていこくとが大事です。そもそも4割の人が非正規雇用の今、退職金もない。


貯蓄ゼロ世帯も増えている。年金だけでは賄えず、定年までに2,000万円を貯めておくことが必要だという話にもなっている。これでどうやって老後を生きて行けばいいのでしょう?


企業にメリットの大きい経済政策から、人に、家族に、そしてそれぞれの皆さんの生活に光の当たる経済政策に転換する時期がきていると考えます。非正規雇用を大量に生んだ原因である派遣法の見直しは大事です。労働法制の見直しナシには語れません。


企業はすぐに経験をきいてきますが、就職氷河期世代の労働力を確保できる形にしないといけません。賃金の差は多少あるけど、試用期間を通じたパフォーマンスで、賃金を上げていく。また再教育への補助と、補助した業界への転用など…いくらでも打つ手はあります。


昭和型の雇用システムが平成に限界に達したとするならば、わたしたちはまさに令和的雇用スタイルを作り出していくべきなのです。
さらに、人手不足の分野に力を入れることで、底上げをします。


一つは保育職や介護職の待遇を平均水準まで引き上げることです。志があっても暮らしていくことができず、離職する方々が多くいます。保育や介護の質も問題になっています。それも低賃金で離職率が高く常に人手不足が原因となっています。


安心してお子さんやお父さんお母さんを預けられるよう、質の向上に繋がることからも福祉の向上につながる経済政策です」


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■「未来」のために「今」できることを

———最後に有権者へのメッセージをお願いいたします。

「少子化が最大の国難と言われています。その国難の理由は何なのか。政策の失敗による就職氷河期世代を生み出したことです。未来の社会保障費も増大が見込まれています。景気回復へブレーキをかけてしまう実質賃金の低下も招いています。


未来のために今できることをしておかねばいけません。政策の失敗で多くの若者を非正規雇用にし、いま彼ら・私たちは中年になっています。まだ元気に働けている。手遅れにならないうちに、今、政治家としてうごくことが大事であると考えています。


選挙に掲げて闘うには「ひとことで説明できない」不向きな政策かもしれませんが、明らかに今取り組むことで現状を少しでも改善をし、未来への責任を果たす政治をコツコツと私は頑張っていきたいと思います」

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(取材・文/France10・及川健二

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