京都の消防士が二度寝で指令室不在 119番が約1時間つながらない事態に
消防士の二度寝でまさかの緊急事態発生…
京都の消防本部で、重大事故につながりかねない驚きの事態が発生したが、その原因は意外なものだった。その背景を探るべく、しらべぇ取材班は、京都府久御山町消防本部と周辺の消防に話を聞いた。
■まさかの二度寝
京都府久御山町消防本部によると、5日未明に当直中の20代の消防士が二度寝して、指令室が無人になり1時間15分にわたって119番通報がつながらない状態になったという。この消防本部は職員数が36人。府内でも最も小規模で、町の職員が消防の職務にあたっている。
そして、当直は3日に1度の勤務体制。夜間帯(午後10時~午前5時)には、同じ班の9人中7人が1時間ずつ仮眠を取り、交代で指令室に詰めることになっており、それ以外の班員は仮眠できる。
午前4時から当番だった20代の消防士は、仮眠室で寝ているところを、当番を終えた30代の男性消防士に起こされて一度立ち上がったが、再び寝込んでしまったという。
起こした消防士は、20代消防士が立ち上がったことを確認したので、その後寝てしまった。同本部の慣例では指令室に連れてきて交代していたが、今回はそれを行っていなかったという。
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■その間に腹痛で119番通報がつながらず
不在の間の午前4時32分、町内の70代男性が腹痛で119番通報したが、つながらなかった。携帯電話からかけ直すと宇治市消防本部につながり、病院に運ばれた。宇治市側から連絡を受けた町役場の当直職員が、隣の消防本部に行き、消防士を起こしたという。
久御山町消防本部にはその間の受電履歴が残っているが、腹痛による1件のみということだ。
消防長は、しらべぇ編集部の取材に対して、「当直体制のマニュアル作りを急いでいる。職員の意見を聞きながら、適切なものを作成したい。職員の数は条例では40人になっているが、現在36人体制でなかなか厳しい状態。まずは、当直の指令室人員を2名体制に変える」と回答。
では近隣の消防本部は、どのようになっているのか。宇治市消防本部は当直の仮眠は2時間、指令室も2人体制。八幡市消防本部も同じく仮眠2時間、指令室2人体制で、「指令室が1人になることは絶対にない」と取材に答えた。
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■1人だとヒューマンエラーが出る
ネットでは1人勤務だとヒューマンエラーが出るという意見があがっている。
「一人勤務だとどうしてもヒューマンエラーが出る。生命、財産を守る公務員であれば、エラーは生命に直結する。職員数が少なく一人勤務も致し方ないのだろうが、二重三重のチェックをする体制をどうぞ構築してください」
「腹痛を訴えた人がつながらなければ携帯で消防本部へかけたりと、そのまま待ったりして苦情をいうわけでもなくご自分でちゃんと判断して自分のことをされたのがなによりだったと思った」
「この場合は二度寝だったけど、担当者が不測の急病で意識不明とか、災害などで同時多発的に何本もの通報があるとかだと、どのみち一人では対応できない。消防広域化などで、体制を整えるべき」
職員数が少ないこともあって、システムの限界が露呈した今回の事案。全国で進む消防広域化が、この地域にも必要といえるだろう。
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(文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部)