インド仏教界1億5千万人を率いる日本人・佐々井秀嶺氏 密着同行記の著者に聞いた

インド仏教最高指導者・佐々井秀嶺氏の密着同行記『世界が驚くニッポンのお坊さん 佐々井秀嶺、インドに笑う』が上梓された。書籍に込められた願いとは。


 

■宗教はシステマチック

佐々井秀嶺氏
(写真:Azusa Shiraishi)

信頼していた弟子からの裏切りや暗殺未遂…数えきれない人から恨まれ、行く先々で命を狙われる。それでも、すべての人の幸せを願い、全身全霊をかけ、カースト制度に体当りしていく佐々井氏の姿は民衆の心を動かし、仏教復興の大きな原動力となった。

佐々井氏の生き方に触れ、その姿を追い続けた白石さんもまた、心境の変化があったという。

白石: 佐々井さんと出会って「宗教って意外とシステム的でおもしろいな」と思い始めました。最初は、お寺をあちこちに建てるのは仏教の勢力を拡大するためだと思っていたんですが、実はそれだけではなかったようです。


毎日たくさんの人がお寺に祈りにきますが、毎日顔を合わせていれば「あの人は大丈夫だろうか」「こんなひどい目にあった」と悩みを打ち明けるようになります。そして「みんなで団結して戦おう」と話し合える、そんな場所をお寺が提供しているのです。


私自身は、相変わらず信仰心はあまりないんですが…家に佐々井さんからいただいた仏像の「みのる仏」がいるので、一日に一度は、声をかけるようにはしています(笑)。


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■本書に込めた願いとは?

本書では、波乱万丈な半生を織り込みながら、仏教復興のため陰謀渦巻く世界に挑む佐々井氏の姿が、ユーモアな筆致で描かれている。白石さんの「佐々井氏の活動を多くの人に知ってもらいたい」という情熱も随所に感じられるが、どのような願いを込めて執筆したのだろうか。

白石:日本の私たちの生活は、お坊さんがいなくても成り立っていて、お坊さんと接する機会や話したことがない人もいます。


でも、昔の日本には「駆け込み寺」という言葉があるように「最後はお寺に駆け込めばなんとかなる」と思って、就活だったり結婚だったり生活の困ったことは、なんでもお坊さんに相談していたのではないでしょうか。


年に一度、一時帰国する佐々井さんの元には、若いネット世代の子達がたくさんやって来て、目の前で泣く人もいます。「この人ならわかってくれる」という直感みたいなのが働くのかもしれません。


この本を読んで少しでも佐々井さんの生き方に触れ「おもしろい」と思っていただけたら。佐々井さんのようなお坊さんも増えてほしいと思っています。

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