公務員の仕事ぶりをチェック 意外な姿で街へ繰り出す「覆面捜査官」市長
優れた人材確保につながる素晴らしい手段。是非これを日本でも…
地方公務員の世界は、そこに暮らす人々に直接喜ばれるような仕事をしたいと考える、奉仕の気持ちが強い職員の集まりであってほしいもの。そう願うのは、じつは住民だけではないのかもしれない。
■増え続ける苦情に市長は苦悩
メキシコのチワワ州のクアウテモック市。そこのカルロス・テナ市長が、数十日にわたり予想外の行動を続けていたとして、市役所内に波紋を広げている。
テナ市長は温かいハートの持ち主で、障害や難病、認知症などを抱えて困っている市民や生活保護受給者などから、ソーシャルサービス全般について、「職員が冷たい」「無責任だ」といった苦情が舞い込むたびに胸を痛めていた。
しかし、職員らに問いただしても「きちんと仕事をこなしている」と主張するばかりで、市民の意見とは完全に食い違っていたという。
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■市長自ら実態確認
市長は事実を把握したいとして、オフィスから外に出ることにした。極秘で車椅子を入手し、やや不潔な身障者を装うと街に繰り出したテナ市長。覆面捜査官さながらの気持ちで、ソーシャルサービスに従事する職員たちの仕事ぶりを監視することにした。
市では貧困層に無償の食事が提供される施設を設けているが、テナ市長がその利用券をほしいと言ったところ、あっけなく追い払われたという。
こうして各種の福祉施設や相談窓口などに、たびたび現れるようになって2ヶ月。テナ市長は市民が訴える苦情の内容が事実であることを痛感した。個々の職員についても、誰が親切でよく働き、誰が怠惰で無責任なのかを把握したという。