なぜ営業マンは経理をバカにするのか? 元敏腕経理マンに聞いた
多部未華子主演ドラマ『これは経費で落ちません!』で注目される経理という仕事。実際に経理部で働いた経験のある男性に根掘り葉掘り聞いた。
■複雑な仕事内容に及ぶことも
ーー一般的にイメージされる、経理のお仕事ですね。『これは経費で落ちません!』もそんな感じです。
A氏:2つめは、これは商社や大企業特有なんやけど連結作業。子会社、関連会社をいっぱい持ってるから期末とかに合算する必要があるんやけど、単純に合算するわけではなくて、正しくくっつける必要があるねん
たとえば、親会社が子会社に商品を売ったとして、子会社がそれを客に売ろうとしていたけど、売らないまま決算を迎えるとするやろ? そうなるとグループ内で売上を水増ししているように見えてしまうやんか。だからそういうところで細かい計算が要るんよな。あと、大企業だと海外に支社がある場合もあるけど、国によって会計基準が違うし、他にも色んな税金の計算がある。
3つめは予算や中期計画の相談に乗り、お金面のアドバイスをすること。「買収金額はこれくらい、売上はこれくらい、経費はこれくらい……」みたいな感じやな。そこまでいくと商品知識や法律的な知識、バランス感覚も必要になってくるから、経理って言ってイメージする仕事内容とかなり違うかもしれんね。
ーーそこまでいくと、もはやコンサルタントって感じですね。
A氏:繰り返すけど、ここまでいくと大企業の経理ならではなんやろうけどな。でも、たとえば税務的な知識はすごく重要で、「オランダに会社作るのとイギリスに会社作るのでは、税金面ではどっちがいいか……」みたいな話が、優秀な経理にはできるんよ。言ってしまえばお金まわりのプロやな。
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■経理に向いてる人とは?
ーーどういう人が経理部にいくことが多いんでしょう? また、向いてる人とかいます?
A氏:大企業と中小企業によって求められるものは違うやろね。で、新入社員の時点で誰が向いてるかはわからへん。計算に弱すぎるのもアカンけど、エクセルがやってくれるから……面白くない答えかもやけど、いわゆる事務処理能力が高い人は向いてるやろな。
それで、どういう人が経理部に残りやすいかというと、どちらかと言うとガリ勉タイプ。静かに経理処理のマニュアルを読んだり、勉強できたりして、インプットの時間が苦じゃない人たち。地頭よりはコツコツが大事というか、ここも世間が抱くイメージとそう遠くないと思う。
ーードラマで多部ちゃんが演じるのもそんな感じの女性です。
A氏:あとはルーティンをこなすのがうまい人。「10日になったし帳簿しめなアカンな」とか、「20日くらいにこの資料。そうすると、5に3を足して8月もそう、11月もそう……」とか、数ヶ月単位で仕事を考えられる人やな。