1500名が被害に遭った児童性的虐待・暴行事件 被告の男たちへの量刑が波紋
非力な子供を誘拐し、性的虐待や暴行を働くことの罪は非常に重い。
性犯罪の捜査上に浮かび上がった重要参考人たち。そこに微妙に絡んできたのが人種差別の問題だった。英国のある町でこのほど数名の被告に有罪判決が下されたが、その量刑の軽さが問題になっている。
■ロザラム児童性的搾取事件
英国サウスヨークシャー州のロザラム周辺で1997年〜2013年にかけ、アジア系ばかり少なくとも1,510名の少女が性犯罪の被害にあったとされている「ロザラム児童性的搾取事件」。
世界に広く報じられたこの一連の児童性的虐待・暴行事件のうち、一部に関与しているとされたパキスタン系英国人の男の容疑者6名に対する裁判が、このほどシェフィールド刑事法院で結審した。
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■捜査上の大きな問題も発覚
「ロザラム児童性的搾取事件」は、じつは被害者の数が膨大であること以外にも、捜査上の問題のせいで有名になっていた。
英国籍を持つパキスタン系の男5名が一部の事件に関与していることを、警察は2010年に把握していながら情報を長年放置していたのだ。容疑者全員がパキスタン系であるため、「人種差別だ」として暴動や分裂が起きることを州政府と州警察が懸念したためだった。
やがてその事実を知った被害者やその家族、人権擁護活動家などは、「被害者がアジア系だと事件は常に軽視される」と彼らの無責任さを糾弾。
ようやく本格的な捜査のメスが入るとともに、英国が抱える性犯罪事件と人種問題の悩ましき現実について世界に広く報じられていた。