多摩川が氾濫した一部区間には堤防なし 「家が覗かれる」と反対の声も
二子玉川地区が浸水したのは堤防の未整備による影響だった…
■ワーキンググループ中だった
二子玉川を挟んで反対側の上流域約540メートルの整備に着手するため、18年3月から二子玉川地区水辺地域づくりワーキングを開始。19年6月までに計5回開催している。
その中で住民から「できる限り森を今のまま残してほしい」「堤防の最上部に人を通さないでほしい」「堤防を作るとマンションと目線があってしまう」「家がのぞかれる」などの意見が寄せられた。
そのため堤防未整備の箇所には、土のうを積んでいた。しかし今回の台風19号で土のうの箇所約20メートルから30メートルに渡り崩れた。
河川事務所の担当者は、しらべぇ編集部の取材に対して、「堤防設置に関して、住民と合意し、早急に工事に着手したい」と述べた。なお国が勝手に堤防を設置することは、今の法体系ではできない。
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■スーパー堤防計画も…
国土交通省は18年12月、「宅地利用に供する高規格堤防の整備に関する検討会」の意見をとりまとめた。高規格堤防(スーパー堤防)とは、一般的な堤防の30倍程度の高さを盛り上げ、洪水や地震の液状化によっても決壊しにくい堤防のこと。
しかし、この計画地には多くの戸建住宅が存在し、周辺住民の合意形成が必要となるため、整備の壁となっていた。
首都圏での高規格堤防は、11年に整備区間の考え方が見直され、「人命を守る」ことを最重視し、「人口が集中した区域で、堤防が決壊すると甚大な人的被害が発生する可能性が高い区間」であるゼロメートル地帯を対象に計画が立てられている。
首都圏ではこれまで、江戸川、荒川、多摩川の整備区間約90キロを事業化。自治体などが行う市街地開発とも連携し、治水対策としての効果に加え、安全・快適なまちづくりにも資する重要な防災機能として建設を行っている。
地球温暖化の影響で、今後も大きな台風の上陸が予測されている。早急な治水対策の実行が、今求められている。
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(文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部)