永野、斎藤工のアドリブに「あっ俺だ」 共同制作の映画で2人が同化
斎藤工、永野らによる制作プロジェクト「チーム万力」初の長編映画『MANRIKI』が、11月29日より公開される。
■斎藤の台詞に「あっ、俺だ」
———斎藤さんの「同化した瞬間があった」という言葉に頷いてらっしゃいましたが、『MANRIKI』の劇中で、斎藤さんを自分のように感じたのはどういったシーンですか?
永野:ばっちりと思い浮かぶシーンがあります。SWAY演じる若者が整顔師に「車を降りろ」って言うシーンで、斎藤くんが聞こえるか聞こえないかくらいの声で「ちっ、めんどくせえな」って言ったんです。
それを見て、「あっ、俺だ」って。ああいう怖そうな見た目のやつに、ガっと強くはいけないけど、最後にちょっとだけかますんです、俺。
———斎藤さんの「ちっ、めんどくせえな」は、あらかじめ永野さんが書かれた台詞ではない?
永野:はい。自然と出てきたみたいです。斎藤くんもさっき言ってたけど、3年間で俺が言いそうなこと、やりそうなことをずっと考えてたから、あの瞬間の斎藤くんは僕だったんだと思います。
斎藤くんの全部を知ってるわけじゃないけど、少なくとも、僕が知る限りではそんな性格じゃないと思うし。
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■大前提が日本映画をつまらなくした
———斎藤さんは以前、『MANRIKI』の上映会イベント直後のインタビューで、「日本のオーディエンスは難しい」とおっしゃっていましたよね。日本と海外の観客で、こういった違いが生まれるのはなぜなんでしょうか?
斎藤:もちろん、自分もそうかもしれないんですけど、日本人には、足を運んでお金を払ったからには何を返してくれるんだろう、と採算をとる考え方がベースにある気がします。
例えば、フランスだとチケット代の半分がフランス映画に投資する分なんです。みんな、それを分かってチケットを買っている。
一方で、日本ではチケットを買うことに対して、これだけ自分のリスクを冒した自分に何を返してくれるんだろう、と審査する感じがありますよね。
———レビューサイトで評価が担保された映画を観る人は確かに多いかもしれません。
斎藤:審査しながらも、同調圧力みたいな空間になる。必ずしも悪いとは思わないですけど、それが特性としてはあると思います。僕は「日本のオーディエンスが満足するもの」という大前提で作られている映画が、日本映画をつまんなくしたなと思っていて。
誰が出るとか、こういう原作で、というニーズありき。エンタメなのに、いかに損をしないかを優先してしまう。作るほうも赤字が出ないように作ってしまっていると、海外を回って思いました。
メキシコには、僕が好きな鈴木清順監督の映画ばかりを上映している映画館もあるんです。今の日本では上映できないようなテーマ性の強い映画に、地球の裏側で未だに熱狂している。
『MANRIKI』には、こういったカルト性や芸術性、神話性が宿ったらいいなと個人的に思っています。