悪質・巧妙化する盗撮犯に条例改正で対抗 「明らかな盗撮用品販売業者も摘発」
京都府が迷惑防止条例違反の改正を重ねる背景とは…
京都府の西脇隆俊知事は21日の定例記者会見で、悪質化する盗撮の防止策を強化するため、府迷惑行為防止条例を改正すると発表した。しらべぇ取材班は、京都府警などから話を聞いた。
■客室を全国で初めて明記
現行条例では、公共の場所や乗り物、公共の目に触れるような場所での盗撮を規制しているが、住居や会社内の更衣室などは対象外。このため、店舗内の更衣室で店長が盗撮した2018年7月の山科区でのケースなどは、軽犯罪法違反で逮捕している。
ただ、条例の罰則が最大「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」なのに対し、軽犯罪法は「拘留または科料」の軽い処分で済む。
近年、条例に基づく処分は減り、軽犯罪法による処分が増加傾向にあることも踏まえ、条例を犯罪の実態に合わせる。改正案では、規制場所として住居や更衣室、事務所、教室、タクシーなどに加え、観光都市・京都の平穏な生活の保持のため、「宿泊施設の客室」を全国で初めて明記。
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■手口が悪質・巧妙化
条例を運用する京都府警人身安全対策課の次席は、取材に対して、「2001年に初めて条例を制定して以来、社会情勢に合わせてこれまでに4回ほど改正を行ってきたが、年々手口が悪質・巧妙化して来ている。
2014年の改正では、全国初の条文を追加したが、それ以降、各都道府県から遅れを取った部分があった。
今回の改正で、全国レベルに追いつく。業者の取締りに関しては、過去に盗撮用カメラを仕掛けた靴を販売した業者を、迷惑防止条例違反の幇助(ほうじょ)の容疑で摘発している。完全な盗撮用のものを販売する業者は、今後も摘発していく」と話した。
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■販売業者は「取材お断り」
ネット上では、「バレない・見つからない・高性能」ということをうたい文句にした業者が数多く存在する。先日は、メガネ型カメラで盗撮していた保育園職員が逮捕されている。
こういった盗撮用品を販売する業者はどう考えているのか。数社に対し取材を試みたが、全て「取材お断り」や「社長から取材を受けないように言われている」という回答だった。
なお、カメラ業界大手のヨドバシカメラ広報は、「スパイカメラや盗撮用カメラは、一切取り扱っていない」と述べた。
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(文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部)