神様は尖った所に降りてくる? 正月飾りの由来と「年神様」とは

年末になると各家庭で用意する正月飾り。どんな意味があるのだろうか?

2020/01/01 07:45

正月飾り
(zepp1969/iStock/Getty Images Plus/画像はイメージです)

1年のはじまりを祝うお正月。親戚で集まったり、おせちを作ったり、正月飾りを飾ったりと、家庭によって様々な過ごし方があるだろう。どれも大切なことではあるが、実はお正月はもともと「年神様」という神様をお迎えするためのものだったと言われている。



 

■なぜ正月飾りを飾る?

正月飾りというと「門松」「しめ縄」「鏡餅」が多くの家庭で飾られるものだろう。門松以外は、スーパーやドラッグストアでも気軽に手に入るものだ。しかし、これらは何のために飾るのだろうか?

実はどれも、前述した神様をお迎えするためのもの。神様は物を依り代にして降り立つと考えられている。神社に行くと、だいたいの神殿には、その依り代として鏡などが御神体とされているが、門松などもそのひとつ。

ちなみに、門松が尖っているのは、神様は尖ったものに降臨するという説も。また、しめ縄に関しては、結界という意味合いもあり、しめ縄以降は神域と考えられている。


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■伊勢では年中飾っている?

正月飾りの注連縄は、お正月のみが通常であるが、三重県伊勢市の地域では1年中飾って、大晦日に新しくするという風習も。大きく「蘇民将来(そみんしょうらい)子孫家」と書かれた文字が特徴的だ。

蘇民将来子孫
(写真提供:伊勢市教育委員会)

こちらは、以下の伝承がもとになっている。

むかし、スサノオという神が旅の途中、裕福な蘇民巨旦(そみんこたん)という人物に、一晩の宿を願ったが断られた。反対に、貧しい弟・蘇民将来は丁寧にもてなした。


スサノオはその対応に喜び「疫病が流行ったときに、蘇民将来の子孫であると言って『茅の輪(ちのわ:藁などで作った輪)』を腰につけていれば助かる」と告げた。


やがて疫病が流行ったが、そのお告げ通りにした蘇民将来の子孫だけが助かった。


この伝承は、現在では6月と12月に神社で行われる、厄除けを行う祭りの「茅の輪くぐり」の元だという説も。いずれにせよ、結界=神様の領域という意味なのだろう。(※伝承の内容など諸説あり)


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■年神様とは?

では、実際にお正月に降り立つ「年神様」というのはいったいどんな神様なのだろうか。呼び名も「正月様」「大歳神」「トシドシ」「若年さん」など多様。その正体も、自分の祖霊(先祖)、陰陽道の神など、様々な説がある。

中でも有名で身近なのは「古事記」の「大年神(おおとしのかみ)」だろうか。山の神の娘神と、スサノオの息子で、穀物を司る神様だ。

日本の信仰は食物への感謝が基本。1年の重要な日にむかえる神様が穀物の神様というのも納得だ。どういった謂れがあるのか知って、正月をむかえるとまた違った気持ちにもなるかも。興味があればお正月を堪能しながら調べてみるのもオススメだ。

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(文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部

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