意外に知らないイランのトップ 「最高指導者」と「大統領」の違いとは…

イランにおける最高指導者と大統領の違い。なにが違ってどんな権限があるのか。

2020/01/07 09:40

(Rainer Puster/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

これまで低強度で推移してきたアメリカとイランの対立。しかし米軍がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害したことがここに来て一気に緊張が高まっている。

この数日で続々とイランに関するニュースが出てきているが、報道を見ても今ひとつ理解出来ない部分が多く、関心が持てない人もいるのではないだろうか。そこで、今回は基本に立ち返りイランにおける最高指導者と大統領の違いについて触れてみよう。



 

■「ハメネイ師」とは何者か

イラン関連のニュースで頻繁に登場する名前「ハメネイ師」。一見すると何者かがわからない。大統領や首相の敬称で「師」は使わない。さらに「ロウハニ大統領」は別にいるのだ。

ではハメネイ師は何者なのか。彼はイランにおける「最高指導者」であり、強力な権力を持つ人物だ。最高指導者は国政全般の最終決定権を持っており、軍の最高司令官も務めている。

通常の共和国であれば大統領が国家元首であるが、イランでは最高指導者が国家元首に相当する。


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■大統領はあくまで行政府の長

それでは大統領の意味がないように思えるが、イランでの大統領は国会や司法と並ぶ行政の長。他国における首相職に相当し、国家元首としての職能の一部を持っている。

また最高指導者は終身。国民の直接選挙で選出された専門家会議から選ばれる。一方で大統領は直接選挙で選出されて任期は4年。連続再選は2期までとの決まりがある。


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■なぜ最高指導者の役職があるのか

大統領もいる一方で、なぜ最高指導者の役職が存在しているのか。イランはイスラム教を国教とするイスラム共和国で、国民の多くがイスラム教のシーア派だ。

そして大半が「12イマーム派」という宗派に属している。シーア派はイスラム教の預言者ムハンマドの血筋を重視しており、その子孫こそが正当な指導者とする考えだ。12イマーム派というのは9世紀に12代目イマームが人々の前から姿を消したことに着目している。

姿を消したことはあくまで「隠れた」という考えだ。その12代目イマームが出現するまでの間は「正当な指導者はいない」としているのだが、代わりに共同体を教え導く存在として最高指導者が存在している。

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(文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部

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