日本共産党・田村智子参院議員に聞く 「授業料値上げ・有利子の奨学金で異常事態が拡がっている」

日本共産党で政策委員長を務める田村智子参院議員。学生時代から一貫して大学授業料や奨学金の問題に取り組んできた。

2020/02/09 19:40


 

■一極集中をストップすべき

日本共産党・田村智子参院議員

地方の衰退については、働く場所を奪ってきた「構造改革」の問題を指摘する田村議員。

田村:地方から働く場を奪ってきた政治が誤りだったと認めるべきです。たとえば市町村合併で役場がなくなりましたが、それは高校卒業した人たちが地元で働ける、若者たちの雇用の場でした。


農協や地銀、郵便局もそうです。今も効率化の名のもとに公立病院や学校の統廃合が検討されていますが、ストップをかけないとダメです。


若い人たちの働く場を維持し、地方で働くことの魅力を今すぐにでもアピールしていかないと、集落を維持していくことができないでしょう。私企業が過疎地域に投資するのは難しいですから、公か半官半民のような存在が必要だと思います。


都心部や東京周辺に乱立するタワーマンションについても、警鐘を鳴らした。

田村:東京一極集中を止めるためには、タワーマンションへの規制も進めるべきです。阪神大震災や東日本大震災の際にも指摘されましたが、エレベーターなしに自宅まで上り下りできるのか。狭い土地に大量の人が住んでいるわけですから、避難所にも入り切らないはずです。


都市計画をまったくやらずに、デベロッパーの利益のために無計画な開発をやってしまっている。人口が減少している国で東京に一極集中したら、地方が地盤沈下するのは当たり前。なぜ、こんな当たり前のことがわからないの…と頭にきます。


地方の産業である農林水産業に希望が持てないという事態をなんとかしないといけないと思います。そこで働くことが所得につながるように思い切った支援を国がやるべきです。


国会では2010年頃から「勇気ある撤退論」もたびたび持ち出されてきました。しかし今、猿やイノシシなど野生動物が住宅地に現れることが問題になっていますが、中山間地を含めて里山的な集落に人が住んでいたことに意味があったのだと思います。


歴史的に日本がつくってきたものを、とくに保守層の皆さんには本当に大切にしてほしいです。


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■少子化対策先進国フランスの2つの挑戦

日本では急速に進む少子化だが、海外ではフランスの対策が成功していることもしばしば報じられている。フランスの挑戦には学ぶことが多い、と田村氏は訴える。

田村:少子化については、先進国の中で克服の方向に向かったフランスから学ぶことがたくさんあります。フランスは、未婚だろうが非婚であろうが、「生まれた命はどんな生まれ方だろうが全部支える」という考え方です。


女性たちにとっては、結婚するまで産めないという制限はなく、自分たちが産みたいときに産むことができる。これが、少子化克服の第一段階になりました。日本では、いまだに婚外子など生まれ方で差別をしていますが、本当に少子化を克服するつもりがあるのか疑問です。


今、フランスでは、第二段階の挑戦が始まっています。それは、女性の体にとって負担がなく、生物学的にも適した妊娠・出産年齢があることを女子の権利として教えること。小学生くらいから教育しています。


日本でも、30代後半になってから、一生懸命、不妊治療に挑戦したけれども…という方がたくさんいらっしゃいます。「自分の体のことを知らなかった」と後悔している方もたくさんいる。


20代後半から30代前半は社会に出てバリバリ働いている時期と重なるので、どう保障するのか、という挑戦も必要でしょう。


日本ではまだまだ少ない男性の育児休業だが、フランスではこちらも進んでいるという。

田村:フランスでは、男性の育児休業も、少なくとも赤ちゃんが産まれて1週間から10日は、ほぼ義務のように取得されています。この時期に父親が育児参加すると、母親の側の育児や家事の負担感がまったく違う、というエビデンスもあります。


いいところは取り入れて、すぐにでもできることからやりましょう、と言いたいですね。

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(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト

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