立憲民主党・中谷一馬青年局長に聞く 「少子高齢化問題の解決が最大の経済対策」

母子家庭、貧困の中で育ち、いったん中卒で社会に出た後、ベンチャー経営者に。異色の経歴の若き青年局長だ。

2020/02/16 19:40



■テクノロジーの進化が生活を豊かに

立憲民主党・中谷一馬衆院議員

再分配の見直しだけでなく、元ベンチャー経営者という知見からの成長戦略も見据えている中谷議員。

中谷:豊かさをつくるには成長も必要です。景気も厳しくなっている状況の中で、需要の喚起が大切。企業が投資できないのは人が物を買わないからですが、ゆとりがないから買えない。だからこそ、国民への再分配と税負担の軽減策が必要です。


また私は、テクノロジー関係の政策を研究をしてきました。少子高齢化の時代にはテクノロジーが世の中を救う可能性がある、テクノロジーが健全な発展をしていけば、世の中をよりよくしていくと信じています。


テクノロジーそのものに善悪はなく、善くすることも悪くすることも私たち人間の取り扱い次第です。


近い将来、自動運転車が街を走り出す。そうなった時、運転者の車内での娯楽といえば音楽やラジオを聴くことであった現状が一変し、お医者さんからの遠隔診療を受けたり、TV会議を行ったり、好きな映画を見たり、家族や友達とリビングのように過ごすといった空間に変わります。


このように、テクノロジーの発展は、突き詰めれば、人類が労働することなく、自動的にあらゆる物の生産とサービスの提供がなされる社会の実現という理想に繋がります。


少子高齢化が進む日本においては、ビジネス、教育、医療、福祉、介護、防災、農林、水産、ものづくりなど生活に関わるあらゆる分野においてその発展を後押しすることが必要です。


IoTや、人工知能、ロボット、ブロックチェーンやドローンといった先端技術が世の中を変えていこうとしていますが、日本の中でもこうした産業をしっかり育て、テクノロジーを活用して人口減少社会の課題に挑もうとしている方々を、しっかりとサポートしていくべきだと考えます。


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■若者と政党のコミュニケーションを円滑化

2019年の参院選における投票率は、48.80%と戦後2番目の低さ。とくに若い世代の低投票率が著しい。立憲民主党の青年局は、こうした状況をどのように見ているのだろうか。

中谷:世論調査に寄れば、投票に行かなかった理由としてそもそも「政治に興味関心がない」と答えた方が最多を占めており、みんなにとって政治が魅力的ではないという現状があると思います。


また、かつては新聞やテレビといったマスメディアで情報が一般化して伝わりましたが、40代以下ではインターネットを中心にコミュニティがつくられ、もともと興味がない人にはさらに政界の現状や政治の必要性が伝わりづらい構造になっています。


世界的に人々の投票行動を見ると、シティズンシップ教育が浸透していて投票することの意義が広く理解されている国や目の前で生命・財産・人権が奪われる脅威があるなど痛みが共有される状況下にある地域などにおける投票率は相対的に高くなる傾向があると考えます。


日本人の生活は苦しくなっています。しかし、衣食住に事欠く人が実際にはいてもまだマジョリティにはなっていません。


今の日本の若い世代には、資金や時間などのゆとりが乏しく、投票に行って世の中をより良く変えることよりも目の前にあるやらなければならないこと、やりたいことを優先する状況にあると感じています。結果として合理的無関心状態となり、、投票に行くモチベーションが上がらないことが推察できます。


しかし本当は、財政や少子化の問題など、長いスパンで見ていかなければいけない問題がたくさんあり、若い世代が関わっていかなければなりません。


現在のように、若者の投票率が低く、政治家が若い人の声を代弁した政策を掲げても興味関心を持ってもらえない状態が続けば、投票に行く人たちのための民主主義となり、一部の短期的な目線での特定の利益に政策決定が偏りがちになります。


たとえば社会保障関連では約34兆円使われていて、その多くが医療費や年金財源。その一方で少子化対策に使われている予算は約5兆円。


これが仮に10兆円規模まで予算を増やすことができれば、出産・育児・教育にかかる基礎的な国民負担は実質的に無償化することが可能であり、少子化問題に関連する様々な諸課題を解決する糸口となる。


こういった問題は、本来、ステークホルダー同士で話し合って解決していかなければならない。だからこそ若者世代に「未来に向けてどういう国をつくるかということに自分たち自身がコミットしなかったら、苦労するのは将来の私たち自身だよ」と伝えていきたい。


しかし、与党と比較すると改善の余地も大きいようだ。

中谷:まだまだ若者たちに届いていない実感があります。立憲は、若者の支持率では自民党には敵わない状況です。彼らは、政治にまだ関心が低い若者に対しても、非常に的確にあらゆる媒体へメッセージを投げることに成功しているな、と感じます。


情報の受発信手段は大体50歳を境に方法が分かれます。50歳以上の方は新聞やTVで情報収集を行い、50歳以下の方はインターネットで情報収集を行っている傾向が顕著に見られます。


そうした中、私たち立憲もSNS等を活用しており、自民と立憲ではTwitterなどのフォロワー数を比較するとそれほど大差はありませんが、自民党は、政権与党であり、政府のリソースも使うことができる。


たとえば、誰もがフォローしやすい首相官邸のSNSアカウントも、結果的には安倍首相の広報媒体になっているので、合わせて比較するとまだまだ自民党が優っています。


こうした状況をきちんと見据えた上で若者の皆さんに伝えたいメッセージがきちんと届けられる広報と若者の皆さんの意見をしっかりと傾聴する仕組みを整備し、政党と若者のコミュニケーションが円滑化するような取り組みを青年局主導で前に進めたいと考えております。

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■「出産・育児費用は無料」など積極策を
少子化テクノロジー立憲民主党衆院議員
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