志村けんさんはお笑い界に何を遺したのか 内村光良に託されたコントの未来
志村けんさんのお笑い界での立ち位置や残していった影響をエピソードとともに考える。
志村けんさんの訃報に対し、各界からさまざまな言葉が送られている。志村さんはお笑い界に何を遺していったのだろうか。
■俳優業の未来はあったか
志村さんの訃報は、志村さんがNHK連続テレビ小説『エール』の出演や映画『キネマの神様』への菅田将暉とのW主演をしようという矢先に訪れた。
志村さんはこれまでお笑いの職人としてお笑い以外をやらない方針でいたのだ。俳優業といえば『踊る大捜査線』(フジテレビ系列)で要の名脇役「和久さん」を演じたいかりや長介さんが思い浮かぶ。
70歳を迎え、新たにいかりやさんの歩んだ道を辿ろうとしていたのだとすると大変惜しいタイミングであった。なお、『エール』での収録済みシーンはそのまま放送される予定だ。志村さんの新たな姿を最期に目にすることができる。
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■喜怒哀楽のコント職人
志村さんはいかりやさんに弟子入りし、その後もドリフから受け継ぎ、自分のモノとした芸を笑いの職人としてひたすら演じ続けた。志村さんの芸は常にいかりやさんの魂を乗せたもの。
志村さんはそこからキャラコントを開拓していった。また志村さんのコントの中で1つ異色なものがある。通称「シリアス無言劇」と呼ばれる宗次郎のハーモニカ『悲しみの果て』をBGMに、家族の死を描く、「笑い」ではなく「涙」に挑戦するもの。
これは存在からして笑いである志村さんがその真逆の「哀」を表現するからこそ重みがあるのだ。笑いを通じて家族というテーマ性や哀しみを表現するのは志村さんのコントならではである。
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■託された内村光良
現在このようなコントができる芸人といえば内村光良をおいて他にいないのではないだろうか。内村は志村さんにかけられた「あなたはコントで出てきたんだからコントを続けなさい」との言葉を胸に刻んでいることをかつて明かしている。
現在内村がNHK総合で続けているコント番組もその名も『LIFE!』だ。笑いに対しテーマ性や哀愁を帯びさせることができるのはまさしくコントであり、志村さんの流れを汲むもの。