新型コロナ感染を隠してホテルに宿泊した男 自主休業の損害賠償は可能か弁護士に聞いた

宮崎グリーンホテルに新型コロナ感染を隠して6日まで宿泊した男性。ホテル側は「法的措置も検討」としていたが…

2020/04/11 11:00

宮崎グリーンホテル
(画像提供:宮崎グリーンホテル)

宮崎市内のホテルに新型コロナウイルス感染者が「症状を隠して」宿泊し、ホテルが7日から2週間の自主休業に追い込まれてしまった事態について、しらべぇ編集部は先日ホテルに取材し報道した。



 

■家族への感染防ぐためホテルへ

宮崎グリーンホテルの支配人によれば、今回陽性と判明した宮崎市在住の40代男性は、先月福岡に出張。1日から発熱・味覚障害・咳・下痢などの症状が出ていたにも関わらず、家族への感染防止のためにこのホテルに6日昼まで宿泊したという。

症状が出ていることはホテル側に知らせず、ホテルの朝食を食べるなど館内で行動しており、6日のPCR検査で陽性が判明した。


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■ホテル側は損害賠償も検討

125部屋あるホテルは、当時満室状態だったが、2週間の自主休業期間中に予約が入っていた1,400〜1,500名の宿泊客に断りの電話をしてキャンセルに。また、館内の消毒作業については行政に断られたため、従業員自らが実施したという。

支配人は取材に対して、「一人の確信犯的行動が多くの方の被害につながっている。もちろん、感染した男性に対する損害賠償の法的措置を検討することになる」と語ったが、こうした場合に損害賠償は認められるのだろうか。

レイ法律事務所に所属する阪口采香弁護士に話を聞いた。


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■請求が認められる可能性あり

レイ法律事務所・阪口采香弁護士

阪口弁護士いわく、「今回の場合、仮に家族への感染防止のために宿泊したのであれば、下記の②に該当し得るので、損害賠償請求が認められる可能性がある」という。

①感染させてやるという悪意があった場合損害賠償責任を負う。業務妨害罪や傷害罪として刑事処罰の対象にもなりうる。


②感染させる恐れがあることを知りながら宿泊した場合(故意)、損害賠償責任を負う。


③感染させる恐れはないと思って宿泊した場合コロナの危険性の周知の程度、本人の落ち度によって、過失ありと判断される可能性あり。その場合、損害賠償責任を負う。


また、「賠償すべき損害は、相当因果関係が認められる範囲であり、ホテルの消毒や休業を余儀なくされたら、その費用も含まれる可能性があります」とのこと。

家族を守るためだったのかもしれないが、周囲に与えた被害は甚大で、許されることではない。また、自らも自分勝手な行動の報いを刈り取ることになりそうだ。

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(取材・文/しらべぇ編集部・タカハシマコト 取材協力/レイ法律事務所・阪口采香弁護士)

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