マスク不足に陥った水族館 館長の口癖と愛を込めた手作りマスクを製作
高知県にあるむろと廃校水族館が15日、ツイッターに「落ちつけ」と書かれたマスクを投稿した。
「『感染症が早く収束するように』『人々がパニックにならないように』といった願いが込められていますが、じつは、もともと館長の口癖から採用したものなんです。スタッフの間で好評ですよ」
廃校となった小学校を改修し開業した、むろと廃校水族館(高知県室戸市)。新型コロナウイルス感染防止のため、18日から5月6日までの休館を決めた。15日、ツイッターにアップしたマスクには、「落ちつけ」とインパクト大のメッセージが。水族館職員が自らに向けて製作・配布したマスクで、同館学芸員は冒頭の裏話を記者に明かしてくれた。
■廃校を改修してオープンした
2018年4月、旧椎名小学校(室戸市、2006年閉校)を改修してオープンしたこの水族館は、開校当時の面影を残している。
屋外プールでは、カメ、サメなどが遊泳。教室には跳び箱といった、当時の教材を掲示している。じつに50種類、1000匹以上の魚が館内に展示されており、県内外から大勢の人が足しげく通う、人気の水族館だ。
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■「『落ちつけ』は口癖」
室戸市からの要請に従い、4月18日~5月6日まで臨時休校となりました。
再開後、皆さまが元気に登校してくることを楽しみにお待ちしております。写真は館長からもらった手ぬぐいで作ったマスクです。
1日も早く、世の中が落ち着きますように。 pic.twitter.com/XNwVPUV3y8— むろと廃校水族館 (@murosui_kochi) April 15, 2020
高知県では、新型コロナウイルス感染者数は16日時点で62人。室戸市は感染防止に努めようと、人が密集しやすい施設に対し休業を要請し、同館も応えた。15日、冒頭の「落ちつけ」マスクとともに、早期収束を願うツイートをおこなった。
館長に代わり、同館学芸員がマスク誕生秘話を編集部に明かしてくれた。完成に至るまでには、館長への愛が込められていた。
「『落ちつけ』はもともと、館長の口癖なんです。研修生や職員が焦ったり慌てたりしているときなどによくおっしゃっています。
また、『絶対って言うな』も口癖です。誰かが『絶対』の言葉を使ったとき、館長が『若い人は“絶対”という言葉を簡単に使いすぎだ』と言うんです。『落ちつけ』は、水族館に来た研修生などが、面白がってよく真似をしています(笑)」
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■館長の自費で作った手拭いをもとに…
マスクは手拭いで製作。この手拭いは、館長が「いつの間にか自費で作っていた、『落ちつけ』『絶対って言うな』と書かれたオリジナル手拭いなんです」(上記学芸員)。
館長が「よく頑張った!」と認めた研修生に配布。各々喜んでいる、人気の手拭いだ。マスク不足の中、職員は館長の愛情がこもった手拭いでマスクを製作した。
「当館では職員分の数枚を作っただけですが、これまでに館長から手ぬぐいをもらった人々も、もしかしたら同じようにマスクを作っているかもしれません」
館長の思いが込められた手拭いは今、形を変え多くの人に熱いメッセージを伝え続けている。
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(文/しらべぇ編集部・Sirabee編集部)