糞便にも新型コロナウイルス 下水中のウイルス量調査が自粛解除のカギか

人口と下水とそこに混じるウイルスの量。その推移を公衆衛生学や感染症疫学に活かせれば、じつに多くのことがわかってくるという。 

社会

2020/05/03 20:00

新型コロナウイルス・COVID-19
(画像提供:アメリカ国立アレルギー・感染症研究所)

糞便中にも排泄される新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、やがて下水に流れ込む。

感染が蔓延している地域と、なんとか流行を免れている地域では下水中のウイルス量に大きな差が出ており、ロックダウン(都市封鎖)が成功しつつある地域ではウイルス量も激減している。「そうしたデータを疫学上もっと活かすべきだ」という声は、ますます高まっているようだ。



 

■ロックダウン解除の目安は…

5月2日午後3時現在、世界で340万人を超える感染者と23万9,000名超の死者が確認されている新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)。この恐ろしい感染症の撲滅と並行し、世界ではロックダウンの段階的解除を伴う経済活動の再開も重要な課題となっている。

新型コロナに関しては、日々新しい感染者・死者などの情報が数字で表され、グラフもまめに更新されているが、巷には「何をもってロックダウンを解除しても大丈夫と確信するのか」「安心を示す目安や数値を知りたい」といった声があふている。

そんな中で米国、オーストラリア、オランダ、フランスなどの公衆衛生学や感染症疫学の研究チームや企業が今、積極的に行っているのが下水の調査だ。


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■糞便中に排泄されるウイルス

調査は、地域の人口を踏まえたうえで下水中に含まれる新型コロナウイルスの量を計測し、量の増減や周辺地域との差を比較するもの。作業はシンプルでコストもPCR検査よりはるかに安い。

メリットは、ウイルス量の変化でどの地域の流行が深刻で、より多くの医療品や防護服/防護具が必要なのかを的確に判断できること。さらに進んで、ロックダウンの段階的解除の目安となる基準が生まれ、再びの感染拡大にも敏感に反応することだ。

かつてイスラエルやインドでは、ポリオ(急性灰白髄炎)について同様の調査を行い、その数値の変化で流行~ピーク~終息の判断を行っていたという。

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■「PCR検査だけでは不十分」