検察ファシズムが実現しかねない検察庁法改正案 元検察官・郷原信郎弁護士に聞く

SNS上で大きな話題となっている検察庁法改正案。その問題点について郷原信郎弁護士は…。

2020/05/12 12:00

郷原信郎

8日、反対する野党が欠席する中、自民党、公明党の与党と疑似与党の日本維新の会だけで、検察庁法改正案が強引に審議入りした。

これに対して、ネットで「#検察庁法改正案に抗議します」のハッシュタグで、昨夜の段階で470万件ものツイートが行われるなど、国民が一斉に反発している。元検察官でもある郷原信郎弁護士に許可をいただき、筆者が氏のブログをインタビュー形式に再構成した。



 

■立法趣旨に反する改正案

Q.多くの芸能人や文化人が抗議の声を上がって今も続いています。この法案はどういうものなのでしょう。

郷原:今回の法案は、国公法の改正と併せて、検察庁法を改正して、検事総長を除く検察官の定年を63歳から65歳に引き上げ、63歳になったら検事長・次長検事・検事正などの幹部には就けない役職定年制を導入するのに加えて、定年を迎えても、内閣や法相が必要と認めれば、最長で3年間、そのポストにとどまれるとするものです。


それによって、検察官についても、内閣が「公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣が定める事由がある」と認めるときは、定年前の職を占めたまま勤務させることができることになります。


これは、安倍内閣が、検察庁法に違反して、黒川検事長の定年延長を強行したことと同じことを、検察庁法上「合法に」行われるようにしようというものです。これによって、違法な閣議決定がその後の法改正によって事実上、正当化されることになります。


このような法案を、法務大臣も法務省も関わらず、「内閣委員会」で審議をして成立させようとしているのです。


このようなやり方は、検察庁法の立法趣旨に著しく反するものである。


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■一般官庁と異なる検察庁

Q.検察庁法が定める検察官の職務と検察庁の組織の性格は、一般の官庁とは異なる?

郷原:一般の官公庁では、大臣の権限を各部局が分掌するという形で、権限が行使されますが、検察庁において、検察官は、担当する事件に関して、独立して事務を取り扱う立場にある一方で、検事総長・検事長・検事正には、各検察官に対する指揮監督権があり、各検察官の事務の引取移転権(部下が担当している事件に関する事務を自ら引き取って処理したり、他の検察官に割り替えたりできること)があります。


それによって「検察官同一体の原則」が維持され、検察官が権限に基づいて行う刑事事件の処分・公判活動等について、検察全体としての統一性が図られています。


検察官の処分等について、主任検察官がその権限において行うとされる一方、上司の決裁による権限行使に対するチェックが行われており、事件の重大性によっては、主任検察官の権限行使が、主任検察官が所属する検察庁の上司だけでなく、管轄する高等検察庁や最高検察庁の了承の下に行われるようになっています。

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■「組織の性格上想定されていない」
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