日本の優れた「豚の放牧飼育」全滅の危機 農家が語る法改正問題を簡単に解説
法改正で日本の優れた放牧養豚農家が消滅!? 理由を農家に聞いてみた
2018年に発生した豚熱(豚コレラ)の影響により、農水省は7月から法律で豚の『飼養衛生管理基準』を大幅に変更しようとしている。
一見畜産農家を守るための法改正に思える法改正だが、優れた技術で『豚の放牧飼育』を実践している養豚農家を全滅させかねない、酷い物だという声が数多く上がっているのだ。
■なぜ法改正が放牧飼育を全滅させるのか?
詳細は農林水産省が公表している飼養衛生管理基準から読めるのでそちらをお読みいただきたいのだが、この記事では「なぜこの法改正が放牧飼育を全滅させるのか?」を、わかりやすく簡単に解説したい。
実際に熊本県菊池市で放牧飼育を行っている養豚農家『やまあい村』の武藤勝典さんに取材した、この法改正の問題点についてを1つずつお伝えしよう。
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①衛生管理区域への野生動物の侵入防止策
まず1つめの問題点としては、法改正後はいのししが生息する地域で豚を育てている農家は衛生管理区域にいのししが侵入しないよう、フェンスなどの防護柵を設置する必要があり、またその周辺の除草をしなければならなくなる。
しかし、放牧養豚は非常に広い面積で豚を飼育しているため、武藤さんの場合は補助金が出たものの、東京ドーム3つぶんほどの面積の放牧地を借金をしつつ約1000万円ほど使ってフェンスを設置したそうだ。さらにこの法改正では『防鳥ネット』を張らなければならなくなった。
フェンスはまだしも、とても広い面積をすべて防鳥ネットで囲うことは物理的に不可能。さらにいのししは草むらに隠れる修正があり、フェンス周辺の草刈りをしないと突進して穴があく可能性があるため、その時間がさらに必要になるのだという。