『ひとりでしにたい』カレー沢薫先生に聞く 「消費的投資は将来への投資を考えるため」

35歳女性がまだ先と思われる「死」を考えるというカレー沢薫『ひとりでしにたい』。新作が発売された著者に直撃した。

カレー沢薫『ひとりでしにたい』
(©カレー沢薫/講談社)

身近な人の孤独死をきっかけに35歳女性がよりよく死を迎えるためにどう生きるかを考え始める姿を描いた、カレー沢薫先生の『ひとりでしにたい』(講談社、原案協力:ドネリー美咲)。

いずれ訪れる死について前向きに考えさせる設定と物語で、女性の心を串刺しにした。今回、単行本第1巻が発売されるということで、作品の狙いやお金についての考え方を作者のカレー沢先生に聞いた。


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■30代女性のリアルを描く

『ひとりでしにたい』の主人公・山口鳴海は35歳。学芸員として働き、独身でローンを組んで買ったマンションで一人暮らし。叔母の孤独死をきっかけに将来へひとりで死ぬことへの不安を高め動き出す。

Q.孤独死やお金、人間関係と、私たちの最期を考えるうえで30代独身女性が気になる設定が刺さります。なぜこの作品を描こうと思われたのでしょうか?

カレー沢:自分も30代後半の女。結婚はしていますが、子なし。「順当にいけば最後は1人、世話をしてくれるような身内はいない」ということに気づきました。まず自分自身の「一体どうしたらいいんだろう」を解消したいというのが動機です。


Q.学芸員を主人公にした理由は?

カレー沢:自分も10年近く会社員だったんですが、田舎の最末端事務員しかしたことがないので、他の職業を書くと嘘臭くなりそうでした。


(ほかの作品を通じて)10年取材させてもらっている美術館や学芸員が舞台なら、まだリアリティが出せるかなと。主人公のモデルは私より原案のドネリー美咲さんに近いです。


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■老後とお金の問題

カレー沢薫『ひとりでしにたい』
(©カレー沢薫/講談社)

老後を考えるときにまず考えるのは、経済活動を支えるお金だ。金融庁は以前、「厚生年金以外に老後の生活には2,000万円必要」という報告書を公表し、議論を呼んだ。

Q.安心して死に向かうために、お金は重要です。私たちはどこから考えていけばいいのでしょうか?

カレー沢:とりあえず「2,000万円」のことは考えないほうがいいかと思います。「2,000万円なければ死」と考えると「そんなの無理」と絶望してしまい、何もする気がなくなります。


逆に「2,000万円がなくても知識や制度でカバーして行けば大丈夫かもしれない」という前向きな気持ちになれば、お金を貯めようというモチベーションが持てます。まずは絶望しないことが重要だと思います。


具体的な貯金方法は私が考えるとろくなことにならないので、今後専門家とか取材して作品に反映したいと思います。


とはいえ、先を心配しすぎてお金を貯めるだけでは何の楽しみも生まれない。山口も好きなアイドルのために、地方公演に行くなどおっかけをしている。私たちも人生を楽しくするための消費はやめられない。

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■希望がなければ将来は考えづらい

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