『ひとりでしにたい』カレー沢薫先生に聞く 「消費的投資は将来への投資を考えるため」

35歳女性がまだ先と思われる「死」を考えるというカレー沢薫『ひとりでしにたい』。新作が発売された著者に直撃した。

2020/07/04 11:30


 

■希望がなければ将来は考えづらい

カレー沢薫『ひとりでしにたい』
(©カレー沢薫/講談社)

Q.主人公の鳴海と同じ職場の後輩・那須田による鳴海への助言「担当という希望への投資は一番ケチってはいけない」というセリフが印象的でした。きちんと生きていこうと思う動機になりうる消費的な投資と将来のための投資のバランスをどう考えていますか?

カレー沢:将来とか終活って、自分の人生に希望を持っている人しか考えられないことだと思います。絶望していたら、早く死にたいと思うし、腐って発見されても別にいいやと思うでしょうし。


将来への投資を考えるために必要な気力を与えるのが、消費的な投資という楽しみや希望だと思います。


Q.第1巻の装丁は、表紙全体を納棺に見立てているデザインが非常に目を引きます。「ネコがナイフとフォークを持っている」というデザインになったのはなぜでしょうか。

カレー沢:表紙のデザインはほとんどデザイナーさんのアイデアで、私は言われる通り絵を描いただけなのですが、想像以上に良く仕上げていただきました。ナイフとフォークは、「孤独死すると、飼っていたペットに遺体を食べられちゃうケースもある」という暗示です。


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■生ききるためのヒント

老後を考えるときどうしても私たちは先立つもの=お金のことを考えてしまいがちだ。しかしカレー沢先生が描くように、あまりにも多くのお金が必要だと考えると「そんなの無理」と絶望してしまう。

むしろ、人が孤独になる過程を考えると、お金の問題だけでなく、本編で那須田が鳴海に助言するように、困ったときにきちんと助けを適切なところに求めることのほうが重要なのだろう。

今を楽しく生きると同時に先に絶望せず、自分の人生を最期まで生ききる―『ひとりでしにたい』にはそのためのヒントが詰まっている。鳴海はこれから情報をアップデートしながら、いままで選んだ道をどうやって正しい道につなげていくのか。次巻以降が楽しみだ。


『ひとりでしにたい』第1巻 定価:本体640円(税別)/月刊モーニング・ツー(講談社)で絶賛連載中 /8月よりコミックDAYS(同)へ移籍し、ウェブ上で連載継続予定

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(取材・文/Sirabee編集部

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