「ゲリラ豪雨」の陰にある気象キャスターの苦悩 悔しさとわかりやすさの間で

新語・流行語大賞も受賞している「ゲリラ豪雨」。気象予報士が感じる意外な思いとは。

2020/09/12 18:20


 

■流行語大賞も受賞

しかしゲリラ豪雨という言葉は2008年に新語・流行語大賞トップ10にも選ばれたこともあり、人々の間にかなり浸透しています。先日小学校でお天気の出前授業をした際も、小学生の多くがこの言葉を知っていました。

気象庁ホームページには「“ゲリラ豪雨”は“局地的大雨、集中豪雨”と言い換えるべき」と書いてありますが、「ゲリラ豪雨」と表現したほうが、「晴れていると思ったら突然降ってくる大雨」のイメージが伝わりやすいのが現実です。

ゲリラ豪雨
(Doctor_bass/iStock/Getty Images Plus/写真はイメージです)

また気象予報士の立場からすると、雨を「ゲリラ」と表現されてしまうのは気象予報の不十分さを指摘されているようで悔しいという思いもあります。

しかし「天気予報を“わかりやすく”伝える」が使命の気象キャスターとしては、皆さんに最も浸透している「ゲリラ豪雨」という言葉を選ばざるを得ません。


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■天気に目立つ戦争用語

今では平然と使用されている「前線」という気象言葉も、本来は「戦場の最前列の、敵と直接に接触する線、第一線部隊とその予備隊」という意味でした。もはやそれを疑問に思う人もいなくなり、辞書には戦争用語としての意味と、気象用語としての意味が並列されています。

気象は時に人の命や財産を脅かすものなので、戦争用語に例えられることが多いのでしょう。言葉は生もの。多用されているうちに言葉に対するアレルギーがなくなり、それが集団免疫となって市民権を得てくるのかもしれません。

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(文/気象予報士・千種ゆり子

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