小籔千豊、吉本新喜劇では一切ダメ出しをしない? モチベ維持する統率術
NHK Eテレで注目の新企画『社会実験ドキュメント サビ抜きで。』が15日に放送される。同番組に出演した小籔千豊を直撃した。
■新喜劇でダメ出しは?
———番組を通じて意識が変わったところがありますか?
小籔:考えが変わったところはなかったですが、いままで自分が貫いてきたダメ出しが「薄文字」から「太字」になったというか、ボンヤリしていたものが、だいぶはっきりした感じがしましたね。
ダメ出しの一方で、褒めることについても考えさせられました。
パーソナルトレーナーの方は、痩せたいとか鍛えたいという明確な目標がある人をアシストしていく立場ですよね。同じように、(VTRに登場した)木工の会社では、一人前の職人になりたいと強く思っている人に社長さんは寄り添っている。そこでは、される側の動機がすごく大切だと思いましたね。
それを見極めるのが大切で、この子はどうしたいのか、どこに向かっているのかしっかり考えて、それに沿ってダメ出ししないといけない。自分のものさしから外れたからといってダメ出しするのは全く意味がないことになるわけです。
———受ける側の目標をきちんと汲み取ってあげることが大事だと。
小籔:例えば、木工職人の方々にDJさせて「下手くそやんけオラ」といったって、その子らにとっては何の反省もないわけですよね。
「服ださいねん」といったって、「僕は一流の木工職人になりたいので…」と思っているわけです。痩せたいと思っている人に、ぽっちゃりが好みの人が「もっと太ったほうがええで」と言ったって、「あ、そっか。もうちょっと肉つけよう」とはならない。
なので、ダメ出しを受ける側の目標をしっかり見極めて、言葉をかけることが大切と改めて思いましたね。
———新喜劇の現場で「ダメ出し」を抜いたらどうなりますか。
小籔:基本僕は新喜劇の現場ではダメ出ししないです。でも注文はします。「こういう言い方じゃなくて、こういう言い方にしようか」とか。
これを受け入れない人はいないので。その子ができることを考えて注文を言っている。AとBの方法があって、その子が両方できるとしたら、Aを選んでいたところをBにしてほしいというダメ出し、いわば注文をだしますね。
「お前、もっとおもろならんかい」「若手がみんなM-1のチャンピオンになってくれたら、新喜劇がもりあがるのにな」とか、冗談でいうこともありますが、本気ではいいません。
その子の能力を考えた上でキャスティングしていますから、本番でもしそれができていなかったら自分が見誤ったと考えているので、本番中にダメ出ししたことは一度もないです。
下っ端の時、本番中のダメ出しで烈火のごとく怒っている先輩見た時に「だっせーなコイツ」と思った体験もあって、そんなこともあるから、絶対自分はしないと決めています。
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■自らへのダメ出しを糧に
———自分自身にダメ出しする時もあるとか?
小籔:エゴサーチよくするんですけど、いまやってるバンドでのドラムに関する悪口を見つけたらスクリーンショットしてフォルダに入れてるんですよ。
ドラムって結構練習しないといけないんですけど、モチベーションが上がっていっぱいやりたいと思う日もあれば、仕事終わったらスタジオ入ろうと予約してやる気満々だったのに、いざ今から行くとなったらやっぱしんどいなと思うことも。
そんな時は、この悪口の書き込みを見て、「ああ、こうやって思っているやつがおる。一人思っているということは1000倍はおる。この人らに認めてもらうためにはどうしようか。今練習するしかないやろ」と発奮材料にしているんです。
昔とかは自分が出ているテレビ見て、このときおもんないなとか、言い方が悪いとか、このトークやっぱり途中で切られているなとか、ダメ出すというか、アカンところをなくす作業をしていましたね。
こうなりたいのになれていない、それはどこが欠落しているのか、そんな自分に対するダメ出しも必要だと思います。勉強のためのダメ出しといいますか、人格否定とか、未来につながらないダメ出しはいけないと思いますが。
———最後に番組の見所を今一度教えてください。
小籔:ダメ出しする側、される側、嫌だと思う人、好きな人、褒められるのが好きな人、嫌いな人…さらには子供も大人も、上司も部下も。この番組を見て、ダメ出しということを考えるきっかけになるはずです。
そしてダメ出しには目標がないといけない、とも番組を通して再確認できると思っています。
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(取材・文/しらべぇ編集部・キモカメコ 佐藤)