安保法制から5年で国会前にて抗議集会 野党代表は敵基地攻撃能力に懸念も
今も各地で訴訟が続くが、河野前防衛相からは「敵基地攻撃能力」の議論も提唱されている現状に懸念も示された。
野党が「戦争法」と指弾した集団的自衛権の行使を容認した平和安全法制が国会で成立してから19日でちょうど5年になった。
当時反対し、その後も毎月19日にアクションを起こしてきた市民団体が主催となって、19日、国会議事堂前で『戦争法強行からまる5年 戦争法は廃止! いのちをまもれ! 改憲発議とめよう! #0919国会正門前行動 』が行われた。
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■福島党首は訴訟の原告にも
野党から参加した、議員は立憲民主党の辻元清美副代表と社民党の福島瑞穂党首、日本共産党の志位和夫委員長。
マイクを握った福島党首は「5年前の9月19日、安保法制が国会で成立をいたしました。私は戦争法と名付けました。『戦争法とは何だ』と国会議事録から削除要求を受けました。憲法9条が許していない集団的自衛権の行使を認める法律は戦争法ではないでしょうか」と批判。
「憲法違反であると同時に立憲主義の手続きにも違反している」と訴える。各地で意見訴訟が行われており、福島党首自身も原告の一人だ。自衛隊のオスプレイ導入や中東への派遣にも疑問を呈した。
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■市民との共闘を自負
辻元副代表は、安保法制の成立後、野党第一党の国対委員長に就任。「国会運営の責任者として、市民の皆さんと一緒に、絶対、憲法第九条の改悪だけは阻止すると決めて、国会の中で他の野党と一緒に野党共闘を深め、そして、市民運動の皆さんと力を合わせてきました」と振り返る。
退陣した安倍晋三前首相については、「憲法改正が彼の悲願だったらしいですけど、この5年間、憲法を変えることができず、悲願を果たすことができず、辞めていかはった。どっちが勝ったんですか。まず私たちが頑張ってきたことを認め合いたい」と胸を張った。
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■敵基地攻撃能力に懸念も
最後にマイクを握った志位委員長は、河野太郎前防衛大臣が提唱した敵基地攻撃能力に強い懸念を示した。相手国の領域で、まず防空レーダーを攻撃。制空権を確保したうえで、ミサイル基地を破壊、攻撃の効果を把握したうえでさらなる攻撃を行う一連のオペレーションのことだ。
「これは生易しいものではない。こんなものが憲法9条のもとで認められるわけはありません。重大なのは、政府が、安保法制による集団的自衛権の発動として『敵基地攻撃』を行うことを否定していないこと」と政府を批判。
「『日本を守る』どころか、日本に戦火を呼び込むことになります。『安保法制プラス敵基地攻撃能力』は恐ろしいことになる。こんな道を絶対に許してはなりません」と訴えた。
集会には3,500人が参加。聴衆は「9条守れ! 戦争法は廃止!」と訴えた。
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(取材・文/France10・及川健二)