岸洋佑「自分のために生きていない」 サラリーマン経験で変化した人生観
1年ぶりのシングル『パンダちゃん』をリリースした岸洋佑にインタビューを実施した。
2020/10/10 17:00
■自分のために生きていない
―――洋佑さんが最初の事務所に所属されて、芸能活動を開始したときから数えると、今年でちょうど10年になりますよね。芸能の世界から離れている期間もありましたが、改めて10年を振り返ってみていかがですか?
岸:長かったかどうかと聞かれると、短かったとは思いますが、もう一回この10年をやりたいかと言うと絶対にやりたくないです。
楽しいことや嬉しいこともたくさんあったけど、それ以上に圧倒的に苦しいことが多かった10年だったので。同世代の子たちと話していても、「説得力が違う」と思われるくらいの経験をしてきたと、最近改めて振り返ってみて思うようになりました。
―――「説得力が違う」というのは、こうしてお話を伺っていてもひしひしと感じます。振付を任せた大学生の方にとっていい経験になれば、とおっしゃっていたのも、27歳という洋佑さんの年齢で、下の世代のことも考えられる人もそう多くないのかなと。
岸:僕自身、いろんな人に助けてもらってきたからかもしれません。僕、自分にあまり価値を感じていなくて、自分のために生きていないんです。人のために生きているほうが楽で、あるときから、私利私欲のために人生を生きるってことにあんまり魅力を感じなくなっちゃって。
この人のために俺ができることがあって、それでその人の人生を彩れるなら、それをやりたいなっていう風に自然に思うようになりました。だから、音楽をやっています。
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■サラリーマン経験で考え方に変化
―――考え方に変化があった「あるとき」とは?
岸:17歳で最初の事務所に入ったのは、私利私欲ででした。ただ「モテたい」みたいな。でも、現実はそんなに甘くなくて、いろいろな社会的な厳しさを痛感して、事務所を辞めた20歳くらいのとき、自分には何もないなと思って。そのとき、大学に通いながら、サラリーマンを始めたんです。
サラリーマンをやってるときに本当にいろいろな人に助けてもらって、初めて自分に課せられたミッションを達成できたり、初めて人生で生きてる実感がありました。努力をして結果が出て、いろんな人と「よかったね」と話ができたときに、「あっ、誰かのためになれた」と思えたことが嬉しくて。
―――そこから再び音楽の道へ?
岸:誰かの人生を5分だけ彩れたらどれだけ幸せなんだろうなという風に思い始めて、音楽もまたやりたいと思って、サラリーマンの仕事が終わったあと、ライブハウスで歌い始めました。
芸能界はどれだけ努力してても、どれだけ力があっても、成功しない人は成功しないし、努力と結果が圧倒的に比例しない世界だと思っていたのですが、不思議なもので、「人のため」という気持ちを持つようになったら、当時よりお客さんも増えてきたんですよ。
そのときに、この仕事いいなって。偽善とか綺麗事じゃなくて、人のために生きたほうが楽だっていう風に思うようになりました。