森達也監督が証言 「学術会議の任命拒否はマッカーシズムやカンボジア大虐殺のよう」

映画監督の森達也氏が21日、国会で開かれた「学術会議任命拒否問題野党合同ヒアリング」に出席した。

2020/10/22 09:40


 

■弾圧の歴史がある

森達也

映画人たちが声をあげた理由として、森氏は「弾圧の歴史があるからです」と述べ、まず、アメリカで60年代に吹き荒れたレッドパージ(赤狩り)をあげた。

「共産主義的なもの、共産主義に親和性の高いものがどんどんパージされていった。そして、マッカーシズムに行き着いた。学者などがやり玉に挙げられた。とくに標的にされたのは影響力のあるハリウッドです」と述べた森氏。

たくさんの映画監督、脚本家、プロデューサーが証人として議会に呼ばれ、共産主義と関わりのないことを宣誓されられ、拒否したものは職を追われたという事例を紹介。

「日本にも赤狩りがあった。たくさんの映画人が職を追われた」と述べ、それらの負の歴史があるからこそ、映画人は立ち上がったのだと説明した。


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■ポル・ポト派の愚民化政策にも酷似

次に6人の任命拒否と重なったのは、ポル・ポト派(クメール・ルージュ)によるカンボジア大虐殺だと森氏は語る。

「一説では、国民の3分の1が虐殺されたと言われている。クメール・ルージュがまず標的にしたのが、アカデミズムの人たち。大学の教員、大学生、高校の教師…。範囲はどんどん広がり、最後には文字を書ける人、眼鏡をしている人までが殺された」と述べ、知識層の虐殺は政府にとって都合の悪い知識はいらないという愚民化にあったと解説。

「今考えると馬鹿じゃないかということが、ほんの40年前に行われた」と批判した。

最後に森監督は「人間は馴致能力がある。つまり適応能力が強い。今はゆでガエルの温度が5℃上がった状況。それに慣れてはいけない」と警告を発し、報道が少なくなってきた学術会議の問題を今後も粘り強く取り上げていくことの必要性を語った。

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(取材・文/France10・及川健二

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